中国投資のリスク高まる 日本企業 インドへ大規模投資

2026/09/02 更新: 2026/09/02

日中間の地政学的緊張が高まり、経済構造も変化する中、日本はインドへの投資を拡大している。一方、日本の対中投資は大幅に減少している。

15年前、日本とインドは貿易自由化協定を締結し、その後、両国政府間の経済関係は発展を加速させた。先週、インドのピユシュ・ゴヤル商工相は、同国史上最大規模の企業代表団を率いて日本を訪れ、両国の貿易・投資関係の拡大を図った。

日本の資金がインドへ流入

BBCによると、現在のムンバイ、デリー、ベンガルールなど、インドの大都市にあるショッピングモールや商店街では、日本の小売ブランドが増えている。ユニクロ、無印良品、高級スポーツシューズブランドのオニツカタイガーだけでなく、ニトリの家具など比較的ニッチなブランドも進出している。日本のコンビニエンスストアチェーン、ローソンもインド進出の準備を進めている。

日本の金融機関も相次いでインド市場へ参入している。昨年、日本最大の銀行である三菱UFJ銀行(MUFG Bank)は44億ドルで、インドのシャドーバンク、シュリラム・ファイナンスの株式20%を取得した。これは、インドの金融分野における過去最大の外国投資となった。

昨年には、三井住友銀行(SMBC)もインドのイエス銀行の最大株主となり、持株比率は24.22%となった。

現在、インドにおけるアジア太平洋地域のグローバル・ケイパビリティー・センター(GCC)のエコシステムでは、日本企業が最大の割合を占めている。グローバル・ケイパビリティー・センターとは、多国籍企業が海外に自社で設立する戦略的拠点を意味する。外部への外注ではなく、現地で採用した最先端のITや研究開発(R&D)の優秀な専門家集団が、企業の成長を牽引する中核業務を担う。

デロイトの最近の報告によると、すでに100社を超える日本企業がインドにGCCを設立している。

スズキ自動車が支援するインパクト投資ファンド、ネクスト・バーラト・ベンチャーズの創設者、ヴィプル・ナート・ジンダル氏は、日本企業がインドへの投資を拡大している理由について、日本の人口が過去十数年にわたって減少を続け、国内需要が鈍化し、市場規模が長期的に縮小していることを挙げた。

これに加え、中国など従来の海外展開先としてきた市場の魅力が低下しているため、日本企業はインドを新たな成長市場とみなすようになったという。

投資の重点をインドへ移行

2014年にナレンドラ・モディ氏がインド首相に就任した後、両国関係は「特別戦略的グローバル・パートナーシップ」に格上げされた。モディ氏は、インドに進出する日本企業の数を倍増させる方針を掲げ、日本の新幹線技術を導入し、ムンバイとアーメダバードを結ぶインド初の高速鉄道建設を推進した。

現在では、日本の民間企業が新たな投資ブームの中心となり始めている。今年7月、高市早苗首相が初めてインドを公式訪問した際、日本企業は約120件の協定を通じ、インドへ125億ドルを投資すると発表した。対象分野は半導体やグリーンエネルギーなど多岐にわたる。

インド商工相は、日本がインドへの10兆円の投資目標を前倒しで達成する可能性があるとさえ述べた。

大企業だけでなく、日本の中小企業もインド市場で積極的に機会を探し始めている。日本の製造業の集積地である浜松市は最近、「浜松インド委員会」を設立し、地元の中小製造企業によるインド進出を促進しようとしている。

一方、日本の対中純投資は減少を続けている。

東京大学特任教授で、公共政策の専門家、地経学者でもある西澤俊郎氏は、この移行について、日本政府が主導する中国からインドへの地政学的な動きではなく、日本企業が商業上の利益を考慮して資本を再配分し、自ら市場多角化戦略を実施しているものだとみている。

インド進出はリスク分散が目的

それでも、日本企業が中国から大規模に撤退しているわけではない。数年にわたるサプライチェーンの混乱と地政学的緊張を経験した後、日本企業は単一の市場や供給網への過度な依存を減らし始めている。

豪シンクタンク、ローウィー研究所のインド問題責任者、シュルティ・パンダライ氏は、インドが日本による中国関連リスクのヘッジに役立つとみている。

一方、日本の経済安全保障戦略とインドの製造業発展目標は、次第に一致するようになっている。日本の政権が頻繁に交代しても、両国の協力は深化を続けている。

パンダライ氏は、歴代の日本政府がインドへの投資目標を引き上げ続けていることについて、両国関係が政府首脳間の外交交流を超え、双方の政府部門、企業、戦略計画に徐々に組み込まれていることを示していると指摘した。

パンダライ氏によると、インドは一方で外国からの投資を必要としており、他方では拡大を続ける対中貿易赤字に懸念を抱いている。こうした状況下で、日本の資金が流入し、日印協力が強化されることは、時宜を得ているだけでなく、長期的には重要鉱物や先端製造などの分野で、インドが中国への依存を減らす助けになるという。

課題と現実的な障害

しかし、両国の協力深化には依然として多くの障害がある。インドのシンクタンク、オブザーバー・リサーチ財団の専門家、プラトナシュリー・バス氏は、日本と中国の製造業ネットワークは現在も高度に融合しており、インドと日本の産業協力は一部の重要分野で拡大を続けているものの、全体としては依然として不均衡だと指摘した。

記事によると、日中経済は高度に相互依存しており、日本が過度に強硬な行動を取れば、巨額の商業的コストが生じるだけでなく、中国共産党による経済的報復を招く可能性もある。こうした要因が、日本による対中政策での足並みをそろえた措置を制約している。

言い換えれば、日本企業がインドでの事業展開を拡大しても、中国の製造業体系から短期間で離脱することは困難である。

一方、日印経済協力も多くの現実的な障害に直面している。インド自身の投資環境には、税制の不確実性、官僚主義の横行、土地承認や環境審査の遅れなど、多くの問題が残っており、日本企業を含む外国投資家を長年悩ませている。

日本の元閣僚の一人はかつて、インド政府がムンバイ―アーメダバード高速鉄道計画を遅らせていると公然と批判し、インドが自国の利益を過度に重視し、契約内容を何度も変更していると非難した。

中共の国営メディアは直ちにこれを取り上げ、インドは契約の履行と約束の実行を巡って態度を何度も変えていると批判した。

記事は最後に、インドが大型の経済・貿易協定や防衛協定を相次いで締結しているものの、日本からの投資の増加傾向を維持するには、インド政府が事業環境を改善し、政策の安定性と契約履行能力を高めなければならないと強調した。

とりわけ、インドが他国から長期的な外国資本を呼び込むことが次第に困難となっている現在、日本からの投資は一層重要になっている。日本側の投資への信頼がいったん揺らげば、インドへの将来的な資本流入に影響を及ぼすことになる。

李平
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