中国を揺るがしたワクチン事件から8年。大手ワクチンメーカー「長生生物」の高俊芳元会長に対する無期懲役が二審でも維持された。
事件が発覚したのは2018年。長生生物の子会社が狂犬病ワクチンを製造する際、決められた作り方を守らず、その事実を隠すため製造記録まで改ざんしていた。
裁判では、会社側が医薬品を監督する当局幹部に巨額の賄賂を渡し、医薬品の承認や行政処分で便宜を受けていたことも認定された。
高氏は複数の罪に問われ、無期懲役と全財産没収の判決を受けた。夫も資金流用の罪で懲役6年となり、複数の社員にも実刑判決が下された。
長生生物はかつて、中国有数の狂犬病ワクチンメーカーだった。違法行為や規則違反をたびたび指摘されながらも、高氏は長年「ワクチン女王」と呼ばれる地位を保ち、中国有数の富豪にまで上り詰めた。
その背景には、権力とのつながりも指摘されてきた。
米政府系放送局ラジオ・フリー・アジア(RFA)は、中国赤十字会医療救助部の元部長、任瑞紅氏の「国家レベルの権力による後ろ盾がなければ、長年無事ではいられなかった」との見方を伝えている。
また、RFAの評論員、高新氏は、高俊芳氏が「ワクチン女王」と呼ばれる地位を築いた背景には、中国共産党最高指導部の一員だった張徳江・元全人代常務委員長の存在があったと指摘。長生生物の社内にはかつて、江沢民元国家主席や張徳江氏と会社幹部が一緒に写った写真が掲げられていたという。
不正を取り締まるはずの側まで金で取り込み、権力を後ろ盾に事業を拡大する。この事件が浮き彫りにしたのは、ワクチン製造の不正だけではなく、中国社会に根を張る「権力とカネ」の構造そのものである。
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