英国MI5が初の「スパイ警報」 中国研究機関 大学から機微技術を取得か

2026/10/01 更新: 2026/10/01

英国の国家安全保障と高等教育界で、中国をめぐる新たな安全保障問題が浮上している。英情報機関MI5は9月30日、同機関史上初となる「スパイ警報」を発表し、中国共産党(中共)の国有企業系研究機関「中国通用技術研究院(CGTRI)」を名指しした。MI5は、同研究院が中共国家安全部の隠れみのとして活動し、学術研究への資金提供を名目に、英国の大学や研究機関から機微な技術を入手していると指摘した。

今回の異例の公開警告は、中共当局が西側の学術界に接近する手法を明らかにするとともに、中国からの資金や共同研究を受け入れてきた英国の大学にも、安全保障上の対応を迫るものとなっている。

BBCによると、MI5は声明で、CGTRIの「主な目的は学術研究に資金を提供し、それによって中共国家安全部のスパイ活動に使う技術力を直接高めることにある」と指摘した。

MI5の調査では、英国の機関と関係を持つ100人以上の研究者が、事情を知らないまま、中共国家安全部がCGTRIを通じて秘密裏に資金提供した研究プロジェクトに参加していたことが分かった。

研究分野はAI、サイバーセキュリティ、秘匿通信技術のほか、秘密の情報を通常の画像やファイルの中に隠す「ステガノグラフィー」などに及んでいる。

MI5は、CGTRIが中共の情報機関との関係を隠していたため、多くの英国の大学や研究者が、相手を信頼して協力していたと説明した。

英紙ガーディアンの中国担当上級特派員エイミー・ホーキンス氏は、この警報が資金不足に苦しむ英国の高等教育機関に大きな衝撃を与える可能性があると指摘した。

英国の大学は長年、中国からの資金や共同研究を積極的に受け入れてきた。今年5月に中共教育部が承認した219件の中外共同教育事業のうち、5分の1以上を英国の大学が占め、国別では最多となっている。また、中国人留学生からの収入は、英国の高等教育部門で年間約6億ポンドに上る。

今回の警告を受け、英国のダン・ジャービス安全保障担当相は声明で、「この警報は、中国(中共)の情報機関が私たちの研究者の専門知識や研究成果を秘密裏に利用し、英国と同盟国の国家安全保障を脅かそうとしていることを明らかにした」と述べた。

ジャービス氏は、英国全国の大学の学長に書簡を送り、教職員がCGTRIとのすべての協力関係を直ちに終了できるよう、大学側に全面的な支援を求めたと明らかにした。

報道によると、今回の警報は法的責任にも関わる。MI5は各大学に対し、英国が2023年に成立させた国家安全保障法に基づき、合理的に見て外国の情報機関への実質的な支援につながると知るべき状況にありながら協力を続けた場合、犯罪に当たり、起訴される可能性があると警告した。

ワシントン・ポストによると、英シンクタンク「地政戦略評議会」の上級研究員で、元英外交官のチャーリー・パートン氏は、今回の措置について「もっと早く実施すべきだった」と指摘した。その上で、大学や研究機関が中共による脅威をより真剣に受け止めるための重要な一歩になるとの見方を示した。

李言
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