出入国在留管理庁は10月1日、外国人の永住許可に関するガイドラインを改定した。永住許可の審査について、世帯収入や将来の年金受給見込み額、日本語能力などを具体的な考慮要素として明記した。日本で長期的に安定した生活を営む能力や、社会への適応をより重視する内容となっている。
新たなガイドラインは、来年4月1日以降の申請から適用する。ただし、世帯収入と「公共の負担とならないこと」に関する一部の規定については、改定日の6か月前以降に申請され、10月1日時点で審査中の案件にも適用する。
世帯収入や将来の生活基盤を具体的に審査
今回の改定で注目するのは、永住許可における「独立生計要件」の具体化だ。
ガイドラインでは、申請者の世帯年収について、世帯人数に応じた日本人世帯の平均収入を上回る水準を継続して確保していることを考慮するとした。単身世帯の場合は申請者本人の収入が基準となる一方、同一生計の世帯で働いている家族の収入については、一定の範囲で合算する。
一方、申請者が扶養する親族については、海外に居住している場合でも世帯人数に含める。世帯人数が5人以上となる場合は、人数に応じた年収水準に生活費などの増加分を加算して判断する。
年金については、将来の受給見込み額を踏まえて判断する考え方を示した。
申請時点までの年金加入状況や平均年収、現在の年収などから将来の年金受給見込み額を算定し、日本人世帯の平均収入を上回る水準で30年間働き、その期間に厚生年金に加入した場合の受給額を基準として考慮する。
年齢などの事情により将来の年金受給見込み額が基準を下回る場合は、金融資産なども考慮するとしている。
ただ「現在の年収が高いか」だけではなく、家族を含めた現在の生活基盤と、将来の生活基盤を合わせて確認する仕組みになっている。
永住許可の審査では従来から、納税や年金、医療保険料などの公的義務を適切に履行していることが重視されてきた。今回のガイドラインでは、こうした義務の順守に加え、安定した生計を維持できるかどうかを、より具体的に確認する方向性が明確になった。
日本語能力や日本の制度への理解も確認
日本語能力も、新たな考慮要素として盛り込まれた。
申請時点で、「日本語教育の参照枠」におけるB1相当以上の日本語能力を有しているかどうかを考慮する。B1は、日常生活などで一定程度の意思疎通が可能な水準。
ただし、高度人材外国人やその家族、初等・中等教育を累計6年以上日本で受けた者などについては、事情に応じて本人の日本語能力を考慮要素としない場合がある。
さらに、申請者が日本の制度やルールを理解しているかどうかについても審査対象とする。出入国在留管理庁が指定する方法により、「生活・就労ガイドブック」に記載された事項などを中心に理解度を確認し、一定の水準に達しているかどうかを考慮する。
学齢期の子供を養育する親については、子供が小学校または中学校に通学していることも考慮要素となる。
永住許可の原則的な在留期間は従来通り10年以上で、このうち就労資格または居住資格で5年以上在留していることなどが考慮される。また、過去10年間の出国状況についても、合理的な理由なく1回の出国で6か月以上、または通算2年6か月以上日本を離れていた場合には、原則として消極的に評価する。
日本人、永住者、特別永住者の配偶者などに対する在留期間の特例要件も厳格化される。従来の「婚姻生活3年以上かつ日本在留1年以上」から見直され、実体を伴う婚姻生活が5年以上継続し、かつ日本に3年以上継続して在留していることが新たな基準となる。
一方、高度専門職などの外国人については、一定のポイントを満たしている場合に、原則10年という在留期間を短縮する特例を引き続き設ける。
出入国在留管理庁は、永住者について「在留活動及び在留期間の制限のない最も安定した法的地位」と位置付けている。そのため、永住許可の判断では、日本語能力や在日歴、在留中の行状だけでなく、日本社会への適応、家族単位での在留の安定、産業界の人材需給など、さまざまな事情を総合的に考慮するとしている。
今回の改定について、出入国在留管理庁は、永住許可の審査で考慮すべき事項を明確化し、申請者や関係する日本人にとって、許可の可否を予見しやすくすることなどを目的としている。
永住許可をめぐっては、政府が外国人の受け入れと秩序ある共生の両立を掲げる中、制度の適正化が課題となっている。今回の改定は、永住後も日本で安定した生活を維持できる経済力に加え、日本語や日本の制度・ルールへの理解を確認することで、長期的な定住を前提とした審査を具体化するものとなった。
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