今冬は暖冬でも大雪に注意 エルニーニョが観測史上最強級となる可能性

2026/10/13 更新: 2026/10/13

エルニーニョ現象が観測史上最強級となることが指摘されている。日本の今冬(2026年12月~27年2月)は暖冬が見込まれる一方、一時的な寒波や局地的な大雪には注意が必要だ。監視海域の海面水温は過去最高を記録したが、現象の強さの評価は機関によって異なる。

赤道付近の太平洋中部から東部で海面水温が平年より高くなる「エルニーニョ現象」が、観測史上最強級となる可能性を指摘している。欧州連合(EU)の気候監視機関「コペルニクス気候変動サービス(C3S)」は10月12日、監視対象の「Niño 3.4(ニーニョ3.4)」海域で、9月の平均海面水温が29.70度となり、過去最高を記録したと発表した。

日本の気象庁も10月9日、同庁の基準では、今回の現象が過去最大の強さに達したとの見解を示した。一方、C3Sは、海面水温の高さだけでは現象の強さを判断できず、現時点で観測史上最強と断定することはできないとしている。

C3Sは、世界の月平均気温が産業革命前の水準を1.5度以上上回る状況が、2027年まで続く恐れもあると指摘した。日本では今冬、「暖冬」が見込まれるが、一時的な寒波や大雪への備えも必要である。

エルニーニョ監視海域の水温が過去最高 9月は29.70度

AFP通信によると、世界各地の気候予測機関はここ数か月、今回のエルニーニョ現象が観測史上最強となることを指摘してきた。年末ごろにピークを迎えると予想しているが、主な監視海域の平均海面水温は、9月の時点ですでに過去最高を更新した。

C3Sによれば、Niño 3.4海域の9月の平均海面水温は29.70度で、1982~83年、1997~98年、2015~16年の強いエルニーニョ現象のピーク時の水温を、いずれも上回った。C3Sは、この結果が今回の現象の異例の強さを示している。

極域を除く南緯60度から北緯60度までの海洋の平均海面水温も、9月としては過去最高の21.0度となった。これまでの最高だった2023年同月の20.92度を上回った。

今年9月の世界の平均地上気温は16.27度で、9月としては観測史上2番目に高かった。産業革命前(1850~1900年)の水準を1.63度上回った。

「観測史上最強」の判断はなぜ分かれる? 気象庁とC3Sの基準

一方、C3SはAFP通信に寄せた声明で、今回のエルニーニョ現象が観測史上最強かどうかは、現時点では判断できないと強調した。気候変動によって海洋全体の水温が上がっているため、海面水温の高さだけでは現象の強さを評価できないという。

熱帯域の海洋全体の水温上昇を考慮した新たな指標では、今回の現象は過去の強いエルニーニョをまだ上回っていないと示唆している。ただし、C3Sは、ピークを迎える前の段階としては異例の強さだ。

監視する海域や判断基準は、機関によって異なる。気象庁は、Niño 3.4海域より東側にある「NINO.3(ニーニョ3)」海域を監視している。

この海域の9月の平均海面水温は、基準値を4.0度上回った。統計を開始した1949年以降で最大の差となり、気象庁は今回の現象が過去最大の強さに達したとしている。

気象庁の基準値は、前年までの30年間における各月の平均値である。2026年9月の場合は、1996~2025年の9月の平均値と比較している。

世界の高温は2027年まで続く可能性 「1.5度超え」の意味

C3Sのカルロ・ブオンテンポ所長は、世界の気温が新たな局面に入りつつあると指摘した。月平均気温が産業革命前の水準を1.5度以上上回る状況が続くという。エルニーニョ現象がさらに強まる中、この状況は2027年まで続く可能性があるとしている。

「1.5度」は、2015年のパリ協定で各国が合意した目標に関わる数値である。協定は、世界の気温上昇を産業革命前と比べて2度を十分に下回る水準に抑え、1.5度に抑える努力を続けるとしている。

ただし、この目標は長期的な温暖化の水準を対象としている。単月の気温上昇が1.5度を超えても、それだけでパリ協定の長期目標を超えたことにはならない。

エルニーニョが日本に与える影響 冷夏・暖冬の傾向と例外

エルニーニョ現象は通常、2~7年程度の間隔で発生し、9~12か月ほど続く。世界各地の風の流れや雨の降り方に影響し、地域によっては干ばつや洪水のリスクを高める。

エルニーニョ現象が発生するとき、日本では、夏に太平洋高気圧の張り出しが弱まり、西日本を中心に気温が低くなる傾向がある。冬は西高東低の冬型の気圧配置が長続きしにくくなり、暖冬になりやすい。ただし、影響には地域差があり、必ず冷夏や暖冬になるわけではない。

近年は気温が全体的に上がっているため、こうした傾向に当てはまらない場合がある。今夏の予報でも、上空の偏西風や太平洋高気圧の配置などの影響で、高温が見込まれていた。

前回の強いエルニーニョ現象が続いていた2023~24年の冬は、全国的に気温がかなり高かった。降雪量は、北日本の日本海側でかなり少なく、東日本と西日本の日本海側でも少なかった。

それでも、一時的に寒気が流れ込み、日本海側で大雪となった。2024年2月5~6日には、日本の南岸付近を進む「南岸低気圧」の影響で、東日本の太平洋側でも大雪となった。

エルニーニョ現象が終息した後の2024~25年の冬にも、局地的な大雪が発生した。2025年1月4日正午には、青森市と弘前市で、いずれも114センチの積雪を観測した。両市とも平年の3倍以上であった。

今冬は暖冬の見込み 寒波や大雪に備えを

気象庁が10月9日に発表した最新のエルニーニョ監視速報によると、2026年春から続くエルニーニョ現象は、冬にかけて過去最大の強さが続く見込みである。

同庁が9月18日に発表した寒候期予報では、今冬(2026年12月~27年2月)の平均気温は、北日本で平年並みか高く、東日本、西日本、沖縄・奄美で高い見込みである。

冬の降雪量は、北日本の日本海側で平年並みか少なく、東日本と西日本の日本海側で少ないと予想している。

日本気象協会も9月30日、11月は全国的に気温が高く、冬の訪れが遅れる見込みだと発表した。12月~翌年2月も、期間全体では全国的に暖冬傾向になるとしている。

一方、同協会は、一時的に強い寒気が流れ込み、急な冷え込みや局地的な大雪が起きる可能性があるとして、注意を呼びかけている。南岸低気圧も通過しやすく、普段は雪の少ない太平洋側でも、雪や大雪に注意が必要だという。

冬全体の平均気温が高くても、短期間の厳しい寒さや大雪がなくなるわけではない。

同協会は、企業活動への影響も指摘した。11月の高温によって、コートや防寒用品、鍋料理に関連する商品などの需要が本格化する時期が遅れることがあるとした。冬全体の気温だけでなく、短期的な気温の変化や寒気の流入にも注意が必要である。

関連特集: 社会