米海軍 低コスト極超音速ミサイル配備へ

2026/10/14 更新: 2026/10/14

米海軍は空母艦載機への低コスト極超音速ミサイルの配備に向け、準備を進めている。飛行速度はマッハ5を超える一方、価格は米軍が現在運用する大型対艦ミサイルを大幅に下回る。大量配備が実現すれば、中共軍の防空システムに迎撃ミサイルを大量に消費させ、その後の攻撃につなげる飽和攻撃に活用できるとみられている。

香港紙サウスチャイナ・モーニング・ポストによると、このミサイルはブラックビアードと呼ばれ、カリフォルニア州の防衛関連スタートアップが開発している。艦艇だけでなく、地上目標への攻撃も可能だ。高価な従来型の極超音速兵器とは異なり、ブラックビアードは開発当初から低コスト化と大量生産を重視して設計された。

米国防総省は今年5月、議会に承認と予算措置を求め、今後5年間でブラックビアードを1万2千発以上調達し、陸海空軍に配備する計画を示した。米海軍は、2028~2031会計年度の平均単価を約38.5万ドルと見積もっている。

一方、米空軍の2024会計年度予算資料によると、ロッキード・マーティンが開発した長距離対艦ミサイルLRASMの単価は約325万ドル。ブラックビアードは、その約8分の1の価格となる。

この価格差により、米軍は比較的少ない費用で、大規模なミサイル備蓄を構築できるとみられる。

専門家によると、有事にはまずブラックビアードを大量に発射し、中共軍艦に防空用の迎撃ミサイルを消費させた後、より大型で威力の高い対艦ミサイルを投入することで、後続の対艦ミサイルが目標に命中する確率を高められる。

ブラックビアードの攻撃対象は艦艇だけではない。中国沿岸部にある対艦ミサイル陣地や防空システム、関連するセンサー設備への攻撃にも使用できる。ただ、台湾海峡での衝突で最大限の効果を発揮するには、課題もある。米空母や艦載機が、発射可能な距離まで安全に接近できるかどうかだ。

米海軍研究傘下のUSNIニュースによると、米海軍は6月に先行生産型50発を発注し、9月にはさらに444発を追加した。今年中の「初期作戦能力」獲得も目指している。

9月には、ブラックビアード2発を搭載したF/A-18E/Fスーパーホーネットも公開された。米海軍は今後、搭載能力をさらに高め、1機当たり最大4発を搭載できるようにする計画だ。

安全保障調査会社Perceptumの創業者で、中国問題の専門家であるティモシー・ヒース氏は、ブラックビアードを敵の防空システムを構成するレーダーなどのセンサーへの攻撃に優先的に使用できると分析している。こうした設備を先に破壊し、防御能力を低下させることで、後続する大型対艦ミサイルの攻撃を通しやすくできるという見方だ。

一方、ワシントンのシンクタンク「ディフェンス・プライオリティーズ」でアジア政策を担当するライル・ゴールドスタイン氏は、ブラックビアードを敵艦艇への直接攻撃に使う能力をより重視している。ゴールドスタイン氏は、太平洋の遠方まで進出し、グアム周辺の米軍の兵站を脅かす中国軍艦への攻撃に、ブラックビアードが使われる可能性があるとみている。

これに対しヒース氏は、ブラックビアードのより大きな価値は、中国沿岸部にあるミサイルや防空システムへの攻撃にあるとみている。艦載機から発射することで、米軍は攻撃方向をより柔軟に選べるようになり、ミサイルの作戦運用の幅も広がるとしている。

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