中国・成都でペスト関連の死亡情報? 疾控センター「非公開」 真偽は未確認

2026/10/17 更新: 2026/10/17

中国四川省成都市で、ロシアから帰国した男性が死亡し、ペストとの関連が疑われていると医師から聞いたとの住民の証言が出ている。地元の疾病予防コントロールセンターは関連情報をデマと否定する一方、ペストの感染情報は規定で非公開だと説明した。患者や死亡例の有無は確認できていない。

ロシアのペスト研究所の女性職員が原因不明の重い肺炎で死亡し、中国のネット上でも肺ペストに関する情報が広がっている。

四川省成都市の住民は大紀元の取材に対し、発熱で受診した際、ロシアから帰国した人が地元で死亡し、ペストとの関連が疑われていると医師から聞いたと話した。その後、地元の疾病予防コントロールセンターから症状について電話で尋ねられ、ペストの調査ではないかと感じたという。

同センターの職員は電話調査とペストとの関係を否定する一方、「ペストに関する情報は非公開だ」と説明した。関連情報を個別チャットでやり取りした後、警察から警告を受けたという人もいる。中国国内のペスト患者や死亡例に関する情報の真偽は確認できていない。

ロシア・シベリアのイルクーツク・ペスト研究所では、実験室で働くダリヤ・シピロワさん(28)が10月2日に「原因不明の重い肺炎」で死亡したことが最近明らかになった。肺ペストの発生や研究所内の事故による感染を懸念する声が、ロシア国外でも上がっている。

世界保健機関(WHO)は10月7日、ロシア側に詳しい情報の提供を求め、「別の職員も原因不明の肺炎にかかった可能性がある」との報道についても説明を求めた。ロシア当局は2人目の患者の存在を否定し、緊急事態は起きていないと強調している。

中央アジア諸国は予防対策や検査体制を強化し、モンゴルはロシアとの国境で入国者の健康状態を確認している。中国でも青海省、内モンゴル自治区、湖南省、広東省などがペストへの注意を呼びかけた。

成都の住民「帰国者の死亡とペストの関連を医師から聞いた」

中国のP4実験室の職員を名乗る人物は微信(WeChat)の「モーメンツ」に、上海と重慶で肺ペストによる死亡例が1例ずつ確認され、いずれもロシアから入国した患者だったと投稿した。この情報はSNSで広がり不安を招いているが、真偽は確認できていない。

成都市双流区に住む孫景陽さん(仮名)は10月16日、大紀元の取材に応じ、発熱で受診した際、ロシアから帰国した男性が双流区で発症し、死亡したと医師から聞かされたと語った。

「11日にA型インフルエンザで熱が出て、双流第二人民医院の発熱外来を受診した。医師に聞くと、亡くなったのはロシアから帰ってきた人で、ペストと何らかの関係がある可能性もあるようだった」

「亡くなった人が双流の疾病予防コントロールセンターにいたのかは分からない。医師も詳しくは話さなかった。聞いたのは双流で1例あったということだけで、2週間ほど前にロシアから戻った人が、その2日後に亡くなったと言っていた」

その後、薬局で体温計を購入した際には個人情報の登録を求められたという。

「最近は登録が必要らしい。その後、地元の疾控センターから電話があった。ペストという言葉は使わなかったが、ペストの症状を尋ねているように思えた」

孫さんによると、病院では体に赤い発疹がないか尋ねられたが、ペストの検査は受けていない。医師が症状を見て追加検査の要否を判断していたのではないかとみている。

疾控センターは関連情報を否定 感染情報は「非公開」

記者がこれらの証言について双流区疾病予防コントロールセンターに問い合わせたところ、男性職員は電話による聞き取り調査は認めたが、ペストとの関係は否定した。

「当センターが調査しているのは事実だが、ペストとは関係ない。主に発熱の有無を確認している」

双流区でのペスト患者や死亡例については、ネット上の情報はデマだと述べた。一方、感染情報の扱いについてはこう説明した。

「誰がペストにかかったか、どの病院で治療を受けているか、死亡例があるかといった情報は、当センターの規定で非公開だ。業務上の秘密に当たり、むやみに外部に話せない」

北京の研究者・楊明氏は大紀元に対し、中国とロシアでは突発的な事態の際に情報が隠される可能性があると指摘した。中国では2003年の重症急性呼吸器症候群(SARS)や、2020年に武漢から広がった新型コロナウイルス感染症でも同様の問題があったという。

楊氏は、情報公開が不十分な状態が長く続き、当局の発表が信頼されにくいため、新たな感染症のうわさが出ると不安が一気に広がりやすいと述べた。

時事評論家の岳山氏は、当局が情報を公表せずうわさを否定しているため、成都でペストの疑い例が実際に出たかどうかは現段階では確認が難しいと指摘した。

また職員の発言は感染が起きても公表しない方針をうかがわせるとし、こうした対応が疑念を深め、市民が偶然耳にした情報が事実である可能性も否定できないとの見方を示した。

岳氏は「市民としては感染の可能性も考えて備え、身を守る機会を逃さないことが大切だ」と述べた。

ペスト情報を個別チャットで交換後、警察から警告との証言

孫さんは、四川省の別のネット利用者、陳思涵さん(仮名)からも、国内の複数地域でペスト関連の症例が出ていると聞いたと明かした。陳さんが挙げたのは内モンゴル自治区、チベット自治区、甘粛省、福建省漳州市、上海、北京で、重慶でも海外から戻った後に発症し死亡した人がいる可能性に触れていたという。

ただ陳さんは、大紀元の取材には慎重に言葉を選んだ。「24時間と言っていいほど抖音(中国版TikTok)を見ている」といい、ネット上の知人と情報を交換し、海外サイトにも目を通しているが、真偽の定かでない情報も入り交じっていると述べた。

「多くの情報は当局がすでにデマだと否定している。これ以上話しても仕方ない」

陳さんによると、孫さんと個別チャットでやり取りした後、警察から警告を受けた。詳しい説明は避け、追加の情報も明かさず、「どのアプリも監視されている。自分で見極めるしかない」と話した。

中ロ国境は「通常通り」 帰国した運転手が証言

中国で感染情報をやり取りした人が警告を受けたとの証言がある一方、国外では警戒強化の情報が出ている。

ベトナムで働く中国系の阮さんは大紀元に対し、ベトナムが警戒を強め、ロシアの一部地域からの入国を認めていないとロシア人の友人から聞いたと話した。

「ダナンでは至る所でロシア人を見かける。入国審査の様子を見れば、ある程度の状況は分かる」

一方、中ロ国境を行き来する中国人トラック運転手の薛さんは、10月12日に満洲里の国境検問所を通って帰国した際、通行に変化はなく、検査もそれほど厳しくなかったと証言した。

「運転手はマスクを着けるくらいで、各自で感染対策をしていればよいという感じだ」

ロシアのウクライナ侵攻を受けた国際社会の制裁後も、中ロの経済・貿易関係は拡大を続けている。中国共産党当局も、ロシアへの支持に「上限はない」と繰り返し強調してきた。

モンゴルなどで警戒強化と報道 各国の対応は

中国側の検問所は通常通りだったとの証言がある一方、他国では警戒を呼びかける動きが出ている。

在ロシア米国大使館はこれに先立ち、米国人にペストへの警戒を呼びかけ、ロシアから直ちに退避するよう促した。

モンゴル保健省は、イルクーツク州で肺ペストが発生したと発表した。肺ペストは致死率が非常に高く飛沫で感染するため、大規模な流行につながるおそれがあるとして、緊急対応計画を発動し、国境検疫を強化して国内への流入を防ぐとしている。

李淨
顧曉華
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