政府は10月中旬、本格的な冬の到来を前に、灯油の安定供給に向けた緊急対策を打ち出した。石油元売事業者や卸売事業者に対する過剰注文の抑制要請に加え、流通の目詰まりが発生した場合の直接販売制度を新設する。
さらに、輸入灯油の価格高騰に対応するため、11月から翌年3月まで価格面での支援を実施する。
高市早苗首相が発表した対策は、全国的な灯油の供給量が確保される一方、一部事業者による大量注文や流通の偏り、輸入価格の高止まりが懸念されていることを踏まえている。
政府によると、10月の原油調達量は前年平月比で約10割を確保できる見込みであり、原油や灯油を含む石油製品についても、日本全体で必要となる量は確保されている。
一方、一部の卸売事業者が例年の需要を大幅に上回る注文を行う動きが見られ、石油元売事業者が安定供給を維持するため、過度な注文を抑えるよう要請する事態が生じている。
こうした注文の集中によって、特定の事業者や地域に在庫が偏り、必要な場所に灯油が届かなくなることが懸念されている。また、海外の精製能力低下に伴い、輸入灯油の価格が高止まりしており、国内の卸売価格や小売価格への影響も課題となっている。
今回の緊急対策では、こうした供給と価格の問題に対応するため、3つの措置を講じる。
第1の対策は、石油元売事業者や輸入商社、卸売事業者に対する販売・注文量の適正化要請である。
石油元売事業者と輸入商社に対しては、系列・非系列を問わず、卸売事業者向けの販売量について「前年同月比で同量」を基本とするよう求める。卸売事業者に対しても、元売事業者などへの注文量と需要家への販売量について、同様の基準を基本とするよう要請する。
これにより、一部事業者による過剰な注文や在庫の集中を抑え、各地域への安定的な供給を維持する狙いがある。
第2の対策は、流通の目詰まりに対応する「灯油直販スキーム」の新設である。
通常、灯油は石油元売事業者や輸入商社から卸売事業者を経由して需要家に供給される。新制度では、この流通過程で供給の偏りや目詰まりが発生した場合、石油元売事業者が卸売事業者や需要家に直接販売できる仕組みを設ける。
直接販売の対象として想定されているのは、医療分野や農業分野など、国民の命や暮らしを支える需要家への対応を図る。通常の流通経路で供給の偏りや目詰まりが生じた場合でも、石油元売事業者からの直接販売によって必要な灯油を確保することを目指す。
通常の流通経路で供給に支障が生じた場合でも、石油元売事業者からの直接販売によって必要な灯油を確保し、医療活動や農業生産への影響を抑えることを目指す。
第3の対策は、輸入灯油の価格高騰に対応する「輸入灯油調整単価」による支援である。
海外の精製能力低下によって輸入灯油の価格が高止まりしていることを受け、政府は灯油の本格的な需要期に当たる11月から翌年3月まで、緊急的な激変緩和措置を実施する。
支援額の算定には「輸入灯油調整単価」を用い、輸入価格から国内卸価格を差し引いた額を支給単価とする。
輸入価格と国内卸価格の差額を補填することで、灯油の輸入に伴うコスト負担を軽減し、国内の卸売価格や小売価格への波及を抑える狙いがある。
灯油は、冬季の暖房に用いられるなど、国民生活、特に寒冷地の暮らしを支える不可欠なエネルギーとなっている。冬季を迎え、国民の命と暮らしを支えるためにも安定供給の確保が重要な課題となっている。
政府は今後、石油元売事業者や輸入商社などと緊密に連携し、現場で発生する供給の偏りや流通の目詰まりについて、個別に対応していく方針だ。
ご利用上の不明点は ヘルプセンター にお問い合わせください。