「これ、本当に人が書いたの?」
400年以上前の中国で書かれた一枚の受験答案が、ネット上で話題になった。
2460文字がびっしりと並び、書き直しの跡は一つもない。まるで印刷したような美しさだ。
答案を書いたのは、1598年に行われた中国の国家試験で、見事トップ合格を果たした25歳の青年・趙秉忠(ちょう・へいちゅう)だ。当時、この試験に合格することは、国の役人になるための重要な道だった。
長さ約2.7メートルの紙には、小さな文字が整然と並んでいる。文字の大きさも間隔もきれいにそろい、最後まで乱れがない。
当時はパソコンも修正液もない。すべて筆と墨を使って、一文字ずつ書いていた時代だ。
どれほど練習を重ね、どれほど集中して書き上げたのだろうか。
この答案は、中国に現存する唯一の明代の首席合格者の答案とされる。400年以上もの間、大切に受け継がれ、1983年に子孫から寄贈された。現在は中国・山東省の青州市博物館に収蔵されている。
今では仕事の書類も手紙もパソコンで作ることが増え、文字を手で書く機会はめっきり少なくなった。誰でも簡単に、きれいな文章を作れる便利な時代だ。
けれども、手書きの文字には、印刷された文字にはない魅力がある。
力強い筆遣い、丁寧に書こうとした跡、少しだけ不ぞろいな文字。そこには、書いた人の気持ちや、その人らしさがにじみ出る。
400年前の青年が残した答案からも、一文字一文字に真剣に向き合った姿が伝わってくる。
文字は、ただ情報を伝えるだけのものではない。書いた人の心や温もりまで届けてくれることがある。
何でも簡単に入力できる時代だからこそ、たまには大切な人に、手書きでひと言を添えてみるのもいいかもしれない。

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