国際政治学者・浜田和幸博士、『九評』と中共脱党ブームを語る

2005/11/23 更新: 2005/11/23

【大紀元日本11月21日】大紀元メディアグループの社説『九評共産党(共産党についての九つの論評、以下九評)』が2004年11月に発表されてから、中国共産党とその関連組織からの離脱を表明する華人が相次いでいる。発表後一年を経た現在、大紀元ウェブサイト上では、570万人以上が共産党とその関連組織からの離脱を表明している。このほど、国際政治学者・浜田和幸博士が大紀元のインタビューに答え、『九評』と関連の脱党ブームについて所見を語った。

浜田博士によれば、『九評』は歴史を再認識するきっかけを提供したという。

「中国共産党は自らの体制を維持するために、歴史の改ざんをおこなってきたが、そのことは同時に内部からの崩壊に繋がるだろう」。「彼らの歴史認識というものが、中国の国内において、中国の人民からノーを付きつけられたということだ。これは日本にとっても、世界にとっても大変大きなインパクトがある。日本人が『九評』のもたらした影響を知ることは、中国と日本との関係を正常化するために欠かせないプロセスだと思う」。

「『九評』がアメリカで、そして世界で注目を集め、間接的に中国に入り、500万人以上の脱党者を引き起こす原動力になった。そういう動きを日本人がほとんど知らない。それは日本人が日中関係の目先の経済的な利害にあまりにも目を奪われ、中国の多くの人たちが金銭主義に走ると同じように、お互いに儲ければいいではないかという発想でやっているから。でもその裏でもっと大きな歴史が変わりつつあることに気づいていない。要するに、歴史の再評価を考えることに『九評』がきっかけになっているわけだ。これがますます世界で認識されるようになれば、当然もっともっと日本の人達も中国に対する見方、中国共産党の一党独裁の歴史に対する目が覚めるというものにつながる。ある意味で日本人にとっても、中国の多くの民衆にとっても欠かせないものだと思う」。

また、浜田博士は中国国内の経済的繁栄の虚像の背後には、深刻な社会問題があり、中国が世論の注意をそらすため、外へ矛盾を転嫁しようとしていると分析。中国国内の極端な貧富格差、腐敗、法輪功への弾圧、1989年6月4日の天安門事件名誉回復の放置、SARSや鳥インフルエンザーなどの社会問題をあげ、中国一般民衆の基本的な生存権や信教の自由に対し憂慮を表した。中国が『九評』を正視しなければ、ますます多くの人が失望し、離党し、近い将来、体制崩壊ということになるだろうと語った。

「その時、世界の国々がどういう形で中国の安定のために力を共有出来るか、今から準備をして置く必要がある。そのためにもこの『九評』のようなものがもっと多くの人に知ってもらう必要がある。いろんな意見があると思うけれども、違った発想で歴史を見る、表から、裏から、いろんな角度から歴史を捉えるのが民主化のために欠かせないプロセスだからだ」。

「九評が投じた一石というのは、地震が起こって、津波が大きなうねりとなるように大きく世界に広がり、民主化を進めるのが、中国の独裁政権の目を覚ますきっかけになる。中国のあるいは世界の人たちが歴史を変えていくというきっかけを与えるものだと思う。そういう意味で中国に対する客観的な理解や歴史認識が、この『九評』を通じてますます広がっていくということを期待したい」。

最後に、浜田博士は大紀元について「日本、欧米のメディアに欠けている部分を補ってくれる大変貴重な情報源だと思う。ますます勇気を持って、中国の真相、隠された実態を伝える大きなメディアとして、期待される役割がとても大きい。是非そういう歴史を誤らせないようするための役割を常に認識して、圧力があるでしょうが、それに屈しないで、真の意味でのメディア、ジャーナリズムのあるべき姿追求していただきたいと思う」と述べ期待を寄せた。

*浜田和幸博士略歴

1953年鳥取県生まれ。東京外国語大学中国科卒。米ジョージ・ワシントン大学大学院にて政治学博士号を修得。新日本製鉄、米戦略国際問題研究所、米議会調査局などを経て、現在、国際未来科学研究所の代表。「チャイナ・コントロール」(祥伝社)など多数の著書あり。

(東京=楊堯、宗義信)