中国共産党がベトナム戦争のときに、中国はベトナムの「後方」だと公言したことは、今でも忘れていない。「後方」とは地理的なものだけを指すのではなく、実際、ベトナムにとって、中国は非常に大きな隣国であり、ベトナムの後ろ盾でもある。中国はベトナムに対して、精神的、物質的、資金、軍事における支援をし続け、ベトナムは万が一敗北した際、中国国境内まで退くこともできる。現在のミャンマーは、まさに当時のベトナムのポジションについているのだ。
ここ数年間、中国はミャンマーにおいて、道路、橋、発電所、製紙工場、トラクター製造工場、造船所などの大量投資を行った。軍備方面においても、ロシア製のミグ戦闘機を除き、戦車、砲艦、戦闘機、ロケット、自走砲を含む主要兵器弾薬はすべて中国からのものだ。
さらに、中国はミャンマーで中国からインド洋へ通じる港の建設を進めており、ミャンマーの港に中東石油からの油送管を繋げる予定でいることから、中国・ミャンマー間の友好的関係は想像がつく。その上、人民元はミャンマー国内で一般通貨として使用できるから、まるで中国の植民地のようだ。良く考えれば、ミャンマーはかつて中国の属国だったこともあり、中国から見れば領土の一部ようなものとも言える。それ故、今回はミャンマーで僧侶らが自由、民主を求め、民生を改善しようと起きた群衆運動に対して、中国政府はミャンマー政府に協力、ないしミャンマー政府に抗議を「処理」し、または弾圧を促すことは、自らの「当然の責務だ」とみなしている。また、中国を統治する共産党は無神論者だから、ミャンマーの僧侶に対する敵対態度もなおさら強くなるのだ。
9月22日に僧侶と民衆が集会しデモ行進をし始めてから、26日に軍事政府が武力弾圧および大量逮捕が行われるまでに、中国共産党政権(中共)はどのような役割を担ったのか。海外メディアの報道によると、中共は関心を示さない低調な態度を保つ、あるいは、ミャンマー軍事政府を支持することを示すと同時に、反体制派組織との連絡関係をも保っているという。関心を示さない低調な態度を保つとは、中共統治への脅威を生じることがないように、中国民衆が刺激させないためだ。また、軍事政府、反体制派の両側と関係を保つとは、中共の一貫した投機的機会主義の本質の表れだ。
米VOAによると、9月25日にブッシュ大統領は国連総会で演説した際、ミャンマー軍事政権に対して新たに厳しい経済制裁を発表し、各国に対しても制裁を促した。しかし、駐国連の中国大使・王光亜氏が、中国も制裁を支持するかについて質問された際、王氏は「目下もっとも重要なことは、ミャンマーを安定情勢に回復させることだ。国連特使ができるだけ早くミャンマーを訪問することだ。我々はミャンマーに対する制裁は地元の情勢にとって、何のためにもならないと考える」との回答だった。
これに対して、国際社会は中国が制裁に反対することに注目するが、中共の思惑は「目下最も重要なことは、ミャンマーが安定な情勢に回復させること」にある。この言葉を理解するには18年を遡って、天安門事件を思い出せば、中共の辞書の中にある「安定」の意味が分かるのだ。
鄧小平はかつて「20万人を殺せば、20年間の安定は保てる」と揚言した。それ以降、中共は「動乱は芽生えた時点で消滅させる」ように実行してきた。現在のミャンマー軍事政府が行っていることも正にそうだ。ミャンマー軍事政府の武力弾圧に対して非難するには、陰で指図している共産党一党専制下の中国政府をもっと追及すべきだ。西側諸国は場当たり的に処理するのではなく、根本的な解決を図るべきだ。
(翻訳・余靜)
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