【大紀元日本3月12日】経済成長を示すGDPよりも「幸福」の指標を重視する国が増えており、世界的ブームの勢いを見せている。多くの経済学者は、このブームは21世紀の価値観形成における一つの指標となるとみている。
仏のニコラ・コルサジ大統領はかつて、「われわれは経済成長を図る方法を変えなければならない」と主張し、ノーベル経済学者・スディガリツ氏およびシンエン氏を招き、フランス体制を改革するための資料として、生活品質指数を作成しようとしている。
製造およびサービス生産を量化した国内総生産(GDP)がこれまでの経済成長の指標だったが、スディガリツ氏は、長い間経済学者たちは経済成長の指標として、福祉の変化を計算にいれていないことから、GDPは良い方法ではないと考えている。スディガリツ氏は代わりに新しい方法はなければ、補う指標を構築すべきだと主張した。
一方、3年あまり、経済協力開発機構原子力機関(OECD)は、経済統計数字が国民にとっての意義のあるものになるような指標を研究し、さらにその他の国際団体と共に「社会発展を図る」グローバル計画を行っている。この計画は2004年11月にOECDが主催した会議で発起した。昨年6月に開かれた第2回会議では、公民は国家発展を図る基準を設定する権利があるという結論を出し、経済成長を図る基準は公民が設けるべきだと呼びかけた。
計画実行委員長・ジョバンニ氏は「21世紀において、極めて重要な主題だ。何故なら、情報化社会で民主政体を動かす根本にかかわるからだ」と主張した。多くの国でこれまでの統計方法の信憑性がますます低くなっているとし、データと現状は一致していないか、あるいは、数値が歪曲されたことが原因だとみられている。ジョバンニ氏は、人々は膨大なデータに圧倒され、あふれる情報を消化するのに苦労していると指摘した。
英ケンブリッジ大学・カラド博士は生活品質の研究において、生活満足度、議会や政治、司法体系に対する信頼度の項目を含み、15カ国2万人の公民を対象にした「EU社会調査」の資料を分析したところ、個人と社会、体制の関係性が重要であることを発見した。
カラド博士は、デンマークおよび北欧の人々が自分に与える幸福度がもっとも高く、その反対にもっとも点数が低いのが南欧の人々だと指摘した。カラド博士は「北欧国家、ルクセンブルク、オランダなどもっとも幸福で裕福な国は、世界銀行で行っている管理指標においても上位ランキングにされている。同様に、研究対象になったEU連盟の15カ国においても、管理指標のもっとも低い国の幸福度調査では、同様に最下位を占めている」と語った。
カラド博士は、政府は物質的生活水準および財力の向上に焦点を置いているだけでは不十分で、幸福は個人財産と喜びから与えられるものに限らないし、個人や制度、社会への信頼度との結びつきが活性源になっていると主張し、「汚職の少ない国家の幸福度指数が高いことが1つの例だ」とした。カラド博士は、社会が団結し、高出生率、低失業率、高収入および貧富の差が小さい、政治や自由なども幸福度を決める重要な要素だと強調した。
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