2月4日に開幕する北京冬季オリンピックについて、仏誌「ル・ポワン」は「史上もっとも白けている冬季五輪」と形容した。諸国の外交ボイコットに加え、国民も盛り上がらず、開催コストから環境保護、新型コロナ対策、人権問題まで国際社会に糾弾されているからだという。
1月31日発売のル・ポワン誌は、「呪われたオリンピック」と題する記事を掲載した。
北京市は、夏季と冬季の五輪を催した唯一の都市である。記事は中国政府はその権力を誇示するために、代償を顧みず冬季五輪の開催に固執したと評した。同記事はフランスのアンドレ・ガトラン上院議員の見解として、「オリンピック精神うんぬんよりも、北京(中国)を世界の中心に仕立てようという企みは明らかだ」と伝えた。
同誌によると、中国政府は誘致時に(選手村などの建設費などを含まない)開催費用として14億ユーロ(約1820億円)の低予算をアピールポイントにしていたが、米メディア「ビジネス インサイダー」の調査報告によれば、実際は340億ユーロ(約4兆4200億円)に膨れ上がっている。
雪不足という北京特有の天候条件も相まって、今回の冬季オリンピックでは史上初の100%人工雪を使用し、約1億8500万リットルの人工雪を投入した。水や電力を大量に費やすため、環境保護論者から批判が上がっている。また、人工雪は比較的硬いため、滑走のスピードが出やすく、選手にとって転倒リスクが高くなる。
中国各地で新型コロナ(中共ウイルス)の感染例が確認されていることから、中国政府は「ゼロコロナ」の感染拡大防止策をさらに強化している。記事は、半年前の東京オリンピックよりはるかに厳しい規制が敷かれていると言及した。多くのフランス選手は、スタッフや警察に行動を見張られて「危険な犯罪者のように扱われている」と不満をもらしているという。
今回のオリンピックをめぐっては、中国政府の人権弾圧問題が終始、非難されている。米国、英国、オーストラリア、カナダ、ニュージーランド、日本のほか、欧州ではオランダ、デンマーク、リトアニアが外交ボイコットまたは政府当局者の出席見送りを表明した。
中国政府は、各国の選手に大会期間中に中国の人権問題への言及を禁止する通達を出しており、国際社会で物議を醸している。
(翻訳編集・叶子静)
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