イスラエルは2月5日、ユダヤ国家に対する「継続的かつ制度的な偏見」を理由に国連人権理事会(人権理事会)から脱退すると表明した。
ギデオン・サーアル外相はX、「イスラエルはアメリカとともに人権理事会に参加しない」と投稿し、前日にトランプ米大統領が人権理事会脱退を発表したことを踏まえた決定だと示した。
アメリカとイスラエルは人権理事会の47の正式加盟国には含まれていないものの、すべての国連加盟国と同様に、オブザーバーとして参加する権利がある。
国連のパレスチナ問題担当特別報告者であるフランチェスカ・アルバネーゼ氏はイスラエルの脱退について「極めて深刻な事態」と非難した。
「これは、彼ら(イスラエル)の傲慢さと、自分たちの行為を認識していないことを示している。彼らは、自らの正当性を主張し、責任を負うべきことは何もないと言い張っている。それを国際社会全体に証明しているのだ」とアルバネーゼ氏は述べた。
イスラエルのサール外相は、人権理事会のヨルク・ラウバー議長に宛てた書簡の中で、2006年の設立以来、同理事会がイスラエルに対して偏見を持ち続けてきたと指摘した。
「人権理事会は従来、人権侵害を行う国家を保護し、中東唯一の民主主義国であるイスラエルを執拗に追及しながら、人権を侵害する国々が監視を逃れることを常に可能にしてきた」とXに投稿した。
さらに、「この機関は人権を推進するのではなく、民主主義国家を攻撃し、反ユダヤ主義を助長することに焦点を当ててきた」と批判した。
サール外相は、イスラエルに対する決議の数が、深刻な人権侵害が指摘される他国よりもはるかに多いと指摘し、こう述べた。
「我々に対する差別は明白だ。人権理事会では、イスラエルのみが特定の議題項目の対象となっている。これまでに100以上の非難決議が採択されており、人権理事会が採択した全決議の20%以上を占める。これは、イラン、キューバ、北朝鮮、ベネズエラに対する決議をすべて合わせた数よりも多い。イスラエルはこれ以上、この差別を容認することはしない」
イスラエルの国連大使であるダニエル・メロン氏は記者団に対し、人権理事会は「設立当初から偏向した組織であり、独裁国家が民主国家に人権について説教する場となっている」と批判した。
「イスラエルは引き続き人権の尊重を堅持し、政治的に偏らず信頼できる機関を通じて関与していく」とメロン氏は強調した。
人権理事会の加盟国は、ハマスとの戦争においてイスラエルが人権侵害を行ったとたびたび非難している。また、昨年設置された国連の調査委員会は、ガザにおける殺害の規模が「人道に対する罪」に該当すると結論づけた。
これに対し、イスラエルはこの調査結果を否定し、作戦の際には民間人の犠牲を最小限に抑えるよう配慮していると反論した。イスラエル国防軍(IDF)によると、多くの住民が避難したのは、IDFが攻撃前に特定地域の住民に退避を呼びかけたためであるという。
トランプ大統領は2月4日、米国が人権理事会を脱退し、同時に国連パレスチナ難民救済事業機関(UNRWA)への資金提供を再開しない方針を発表した。
アメリカは2018年、トランプ政権下でUNRWAへの支援を停止したが、バイデン政権で復活。しかし、UNRWA職員9人以上が2023年10月7日のハマスによるイスラエル攻撃に関与していたことが明らかになると、再び支援を凍結した。
イスラエル政府は、UNRWA内のハマス関係者の数はさらに多いと主張。ガザ地区にいるUNRWA職員約1万3千人のうち、1200人がハマスのメンバーであり、6千人がハマス構成員の家族であると指摘している。
トランプ大統領は2018年6月にも米国を人権理事会から脱退させており、当時の国連大使ニッキー・ヘイリー氏は「人権理事会は慢性的にイスラエルに偏見を持っている」と批判し、理事会のメンバーには深刻な人権侵害を行っている国々が含まれていると指摘していた。
バイデン前大統領は就任後、人権理事会への支援を再開し、2021年10月に米国は理事会の議席を獲得した。
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