中国甘粛省:5万人大規模抗議、当局の弾圧で死者多数

2008/11/20 更新: 2008/11/20

【大紀元日本11月20日】四川省に隣接する甘粛省隴南(ロウナン)市は18日と19日、同省が近年最大規模の政府当局への民衆抗議事件が発生した。行政府が民衆の反対を無視し市の行政所在地移転を強引に進め、それに伴う農民の土地を収用する際の補助金の不当問題に不満を訴え、5万人を超える地元農民たちが二日間連続で市政府の建物に突入して抗議を行った。当局は公安や武装警察を大量に派遣し抗議者らを弾圧した。この衝突で抗議者と警察側の双方に負傷者が出ており、負傷した数百人の農民の内、数十人が重傷を負い、数人の死者も出たという。

中国西北部への入口と知られる隴南市(地級市)は甘粛省

南部に位置し、南を四川省と接する。行政府中心地の武都市は今年5月の四川大地震で、重度の災害を受けた。現地の住民によると、当局は被災者に対し十分な措置を取るどころか、市の建設計画を進めていない状況で、行政府を武都市から、隣の成県へ移転することを決め、移転の工事を急いだ。住民らは住む場所も確保されていない状態のため、武都市の住民55万人は行政府移転に反対した。

住民の反対を恐れ、当局は行政府移転の噂は嘘であるとし、「噂を広めた」罪名で数人を逮捕した。しかし最近、行政府移転の情報を正式に公表した。移転のため土地が収用され、合理な補償金ももらえなかった農民たちの怒りが爆発し、18日と19日二日連続で政府の建物の前で集合して抗議を行った。

19日抗議の現場にいたある目撃者は本紙取材に、当日朝、政府の建物の中と周辺にいる抗議者数は一時的に5万人を超えたと話した。隴南市の各業界もストライキを行い、商店を閉店し、タクシーとバスも運行停止、農民たちの抗議を支援した。当局は武装警察を大量に派遣して抗議者を弾圧し、数人の死者が出たという。

「18日夜、行政府は成県から武装警察を出動させた。昨日(

19日)まで、2百人以上の武装警察がこちらに到着、武都市の公安と交通警察全員も出動した。午前11時前後、警察が行政府の建物の中で、抗議者を囲み、電気棒などで人々を殴った。殴られたのは男女も子どももいる。少なくとも6、7人がその場で死亡したようだ」とこの目撃者がいう。

午後3時ごろ、警察が催涙弾を放ち抗議者らを制圧したという。

武都市民の董さんは本紙取材に対し、抗議者らは行政府の施設や、パソコンなどを壊し、車両も焼いたと話した。

「今年3月ごろ、行政府移転の問題について2千人の民衆が当局に上申する事件があった。市の党書記は公に、移転の話を事実ではないと発表した。しかし最近会議を開き、移転すると決めた。だから大量な群集が再び上申を行ったのだ」

また、現地住民によると、現地テレビ局はすでに、11月23日まで武都市が戒厳する通知を出しているという。

隴南市は今年5月の四川大地震の中、汶川地区に続いて、多くの被害を受けた地区。特に武都市は多くの死者と経済損失が出た。『隴を得て蜀を望む』―「三国志」の舞台である隴南は、中国統一を成し遂げた秦王朝発祥の地として知られる。

(記者・古清儿/顾晓华、翻訳編集/肖 シンリ)
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