【大紀元日本3月24日】グーグルの中国からの撤退日について憶測が飛ぶ中、22日、グーグル社は早速、中国での検索サービスの検閲を停止することを正式に発表した。2006年、Google.cnサイトの立ち上げに伴い設定され、批判をあびた検閲ドラマにようやく終止符が打たれることとなった。
利益を後に原則を先にするのは時代遅れだと笑われるだろうが、グーグルは依然、「王様は裸」と叫ぶ男の子の役を選んだ。「中国政府が私たちの決断を尊重することを切に希望します。同政府が私たちのサービスへのアクセスをいつでも阻止できることは、充分承知しています。アクセス問題は、今後注意深く監視していきます」と22日、最高法務責任者(CLO)デビッド・ドラモンド氏は、グーグル社の公式ブログサイトで同社の意向を示している。
この日の早朝、中国のメディアとネットユーザーが中国での検索エンジンGoogle.cnに入ろうとしたところ、香港を拠点とするGoogle.com.hkに移動してしまうという報告があった。同日午後、この動きを裏づけるかのように、グーグル社の公式ブログサイトで「Google.cnに入ろうとするユーザーは、Google.com.hkに移動します。簡体字で検閲のない検索サービスを提供しています。中国本土のユーザーの方を念頭に設定されたサイトで、香港のサーバーを通して配信しています」という通知がポストされた。
「Google.com.hkから検閲のない簡体字の検索サービスを提供することは、全く法に準じるものであり、中国の人々が数多くの情報にアクセスできるようになる。思慮深いソリューションであると確信しています」とブログは続ける。
一方、グーグル社は、中国での操業は完全に閉鎖せず、中国本土の研究開発所と営業を残すことも発表している。
検閲停止の発表を受けて、グーグル社の22日の最終株価は0・4%の上昇となった。
他社に先駆ける動き
北京政権は、特にネット上で、政権異論者に対する取り締まりを緩める傾向を全くみせていない。こんな中で、他社に先駆けるようにして、グーグル社は行動している。米紙「ニューヨーク・タイムズ」は、「グーグル社の決断は、外資系企業にとって中国でのビジネス環境が悪化していることを象徴するもの。中国政府が国内企業を擁護していることの現れともいえる」という欧米ビジネスマンの言葉を引用している。
今年1月12日、グーグル社は、中国語の検索結果に対する検閲停止を考慮していると発表。そしてグーグル並びに他20社が、中国発信の高度なサイバー攻撃の標的になってきたことを明らかにした。
グーグル社は、「これらの攻撃、そしてFacebook、Twitter、YouTube、Google Doc、ブロガーなどのウェブサイトを絶えずブロックするなど、中国でのウェブ上の言論の自由をさらに規制する試みに鑑みて、これ以上Google.cnの検索結果を検閲し続けることはできないという結論に達しました」と、同ブログは、そのいきさつを説明する。
これまで業界のアナリストらは、グーグル社が中国サイトでの検索結果の検閲を停止するという約束をいつ果たすのか、実際に停止するのかとみつめてきた。
そんな中で、1月12日のニュースは、人権擁護者らを高揚させた。『A Land Without Evil: Stopping the Genocide of Burma’s Karen People』(邪悪のない土地:ビルマのカレン民族殺戮を止める)の著者ベネディクト・ロジャーズ氏は、ブログポストの中で「グーグルの発表は意義深い。グローバルなネット検索エンジン企業が、中国市場、そして数十億ドルの収益の可能性に背を向けることは、言論の自由への多大な支援と、検閲に反対する確固とした立場を意味する」と書き込んでいる。
グーグルの年間収益は、250億ドルで、そのほとんどは、検索エンジン、Google AdWords(ユーザーの検索行為に連動してのリスティング広告)関連の広告による。情報筋の報告では、中国での最近の四半期売上げは約1・5億ドルで、年間にして約5億ドルと推定される。中国での売上げは、グーグル社全体の収益では、僅かな割合にすぎない。
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