【大紀元日本7月27日】「富士康」「児童殺傷事件」「上海万博」「天上人間」...これらの言葉を目にしたことのある人も多いだろう。激変中国の激動世相を表すこれらの言葉が、このほど中国の上半期の流行語に選ばれた。「中国青年網」が伝えた。
主要な新聞社16社の上半期の記事から、出現回数や流通の度合いなどを分析したうえで、12の部門から各10個の流行語が選定される。
「富士康」と「天上人間」
共に社会問題部門で選ばれた「富士康(フォックスコン)」と「天上人間(天上の世界)」。前者は農民工の血と汗の工場、後者は特権階層の高級ナイトクラブである。「富士康」では今年に入ってから13件の従業員の飛び降り自殺が起こっており、月給約900元(約1万1千円)という従業員の待遇の悪さが初めて世に晒され、中国の労使関係問題を表面化させるきっかけともなった。
一方、「天上人間」は中国で最も有名とされる北京の高級ナイトクラブ。サービスも値段も「天上」だという。中国メディアによると、「天上人間」への旅には、最低5万元(約65万円)必要で、数十万元(数百万円)に至ることもざらにある。ここは大手企業の経営者たちが公然と政府の高級幹部に性的賄賂を提供する舞台であり、金銭と権力が癒着する温床と化している。
そんな「天上人間」に、5月11日、公安局のメスが入った。ホステスがチップをもらって客を接待したなど、娯楽施設管理条例違反で半年間の営業停止が命じられた。今回の摘発も特権階層間の権力闘争によるものと噂されるが、権力=金銭の構図がいっそう浮き彫りにされた。
なお、5月に発表された世界銀行の報告によると、中国では1%の家庭が全国41%の富を掌握している。「富士康」と「天上人間」。まさに雲泥の差とも言える多大な格差を示す端的な例と言えよう。
「上海万博」と「児童殺傷事件」
それぞれ総合部門と突発事件部門にランクインした「上海万博」と「児童殺傷事件」。上半期の中国最大の出来事は、「上海万博」の開催であろう。8年の準備期間と4千億元という巨資を費やした上海万博は、万博史上最大規模を誇る。
その華やかな舞台の裏では、連続7件の無差別「児童殺傷事件」が発生していた。万博を直前に控えた4月28日、29日、30日にも事件が起こり、「万博を開いている場合か」「今もっとも大事なのはいかにして子供の安全を守るかだ」とネット上の書き込みが相次いだ。
世界にその力をアピールする「上海万博」。一方、深刻化する不公平な社会と広がる貧富の差に報復する弱者。歪んだ社会が生み出した矛盾が不気味な形で蔓延している。
「非誠勿擾(誠実なおつきあいのみ)」は中国の人気お見合い番組。参加者の女性たちが赤裸裸に「拝金主義」を前面に出していることで話題を呼んでいる。ある女性は、自転車好きの無職の男性からのアプローチに「自転車に乗って笑うより、BMWに乗って泣くほうがいい」と発言したことで大論争に発展し、当局も「拝金主義を助長する」として番組の規制に乗り出した。
そんな拝金女が見向きもしない「犀利哥(目つきの鋭いアニキ)」は、上半期におけるネット上で最も有名な人物である。ホームレスのこの男性は、よれよれのコートをなびかせながらくわえ煙草で歩いているところを写真に収められた。そのイケメンぶりとワイルドな雰囲気、そして拾い物の洋服がなぜか今時の重ね着を彷彿させる姿が、たちまち注目の的となった。あまりの人気に地元政府も無視できなくなり、男性はその後保護され、家族の元に戻ったという。
このほか、上半期の流行語として、「西南大干ばつ」や「洪水災害」「青海地震」「グーグルが中国から撤退」などもランクインした。
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