【大紀元日本3月4日】中東の独裁政権が相次ぎ崩壊する中、世界最大の独裁国家である中国は、今年の「両会」(全国人民代表大会と政治協商会議)を迎えた。政治協商会議は3日に始まり、全国人民代表大会は5日に開幕する。「両会」の開催にあたり、例年より厳重な警備を敷くなど、当局は神経を尖らせている。一方、インフレや社会格差の拡大で国民の不満も最高潮に達しようとしている。不安と不満、この二つの言葉が今年の「両会」のキーワードとなっているようだ。
警察官によるパトロールと往来する車両への検問など、両会期間中の「通常警備」に加え、今年は北京の天安門広場を中心とする上空の半径200キロ内において一切の飛行が禁止されるなど、警備体制がさらにグレードアップされた。国内紙・京華時報は、警察官のほかに73万9千人の一般市民が警備のために動員されていると報じた。また、タクシーの運転手にも「不審者を発見したら、警察署に直行するように」と通達があったという。
年々警備を厳しくする背景には、爆発寸前にまで来ている国民の不満に対する警戒があるものと見られる。2週間前からインターネットを通じて呼びかけられた街頭集会は、反政府デモにはつながらなかったものの、取材している外国人記者に当局が暴行を加えるなど、国内情勢の行方に不安を隠せない。
仏メディア・AFP通信は3月2日、「社会の不満を打ち消すことが今年の両会の最大課題」と題する記事を掲載し、今年の両会は例年よりも厳しい世論の中で迎えることになると指摘した。
AFP通信の取材に応じた香港中文大学の教授は「国民は不満を持っている。特権階級は、他の階級に比べて、あり得ないほど高額の収入を得ている」と話す。
ちょうど両会が開催される前、鉄道部の劉志軍・前部長が汚職で逮捕された。事件に関係した金額は8億元(104億円)に上ると見られ、近年最大の汚職事件となった。
深刻化するインフレ、高騰し続ける不動産価格、収入配分の不公平、後を絶たない幹部の汚職事件、これらに対する国民の不満は高まる一方で、温首相も両会前にネット利用者との対話で、「社会不安を引き起こすきっかけとなる」と認めている。
今回の両会では、インフレと収入配分の不公平が重要な議題として議論される予定だという。
両会の無事開催は当局にとって目下最大の任務。一方、街頭集会の指定場所に来た市民のなかには、「いつでも傍観者から参加者に転じる用意がある」と話す人がいるという。市民の不満を本当に打ち消せるのか、当局の不安はまだまだ続きそうだ。
ご利用上の不明点は ヘルプセンター にお問い合わせください。