【大紀元日本3月20日】東京電力福島第一原発の使用済み核燃料プールに向け放水作業を行った東京消防庁のハイパーレスキュー隊第一陣が19日夜帰庁し、メンバーの3人が記者会見した。決死の放水作業の結果、一時放射線量はゼロに近くなり、冷却効果のほか、放射性物質の飛散を抑制するという成果をもたらした。
東京消防庁隊員らと同原発周辺で放射線量を観測していた東電社員によると、放水作業を続けた結果、放射線濃度がゼロに近い数値を示したという。
会見によると東京消防庁は、11日の地震発生時の時点で原発災害を想定しており、12日にはどのような戦術で対応するかを検討していた。16日にはすでに、放射性物質を避け、シンプルでリスクの少ない作業が出来るかを実験していたという。政府は17日、消防庁に出動命令を出した。
原発周辺の道路状況が思いのほか悪く、隊員らは計画を再構築し、試行錯誤の連続だったという。「津波や建屋爆発で周辺の道路に大量の瓦礫が堆積し、大型車両が通行できる場所が少なかった」と、同隊の一員である冨岡豊彦隊長(47)は説明した。
隊員たちは、現場の悪条件のため、全長800メートルのホースのうち、350メートルほどを手作業で設置。特殊車両の屈折放水塔車を3号機の壁まで約2メートル、核燃料プールまで約50メートルの場所に停めて、放水作業を行ったと述べた。
現場周辺の悪条件下での作業について、専門家は、「前もって状況が消防庁に伝わっていれば、より効率よく作業が進められたのではないか」と指摘する。
冨岡隊長は、作業において注意したことは2点あるという。1つは、呼吸管理。体内被曝を避けるため防護服と酸素ボンベを着装し、さらに護送車両を常に隊員の側につけていた。2つめに放射線量で、一般では10ミリ、緊急の場合は30ミリが原発に関わる作業の許容量とされている。隊員たちの計画的な作業の結果、被曝量は、全隊員139人中14~15ミリが3人、10ミリ以下が45人、最大値は27ミリで、全員が目標値内に収まった。
隊長らは、成功裏に放水作業で成果を収められたのは、「チームワークと士気の高さ」だという。冨岡隊長は、心配をかけた家族のことを想い、お詫びとお礼を述べて涙ぐんだ。
一緒に会見に臨んだ高山幸夫隊長(54)は出発前、妻に「派遣命令だから行ってくる。必ず帰ってくるから」とメールしており、「信じて待っています」と返事をもらったという。また、佐藤康雄総隊長(58)はメールで福島第一原発に出向くことを家族に告げると、妻からの返事は、「日本の救世主になって下さい」だったことを明かした。
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