【大紀元日本3月26日】中国では現在、インフレが進んでいる。対象はこれまでの食品分野のみならず、軽工業が生産する消費財も物価上昇の潮流に乗った。専門家は、「工業生産消費財の価格上昇はインフレがかなり進んだ段階で起こるもの」とし、過剰流動性と国際石油価格上昇の中で物価抑制は極めて難しい状況にあると分析している。
また、今回の値上げは、両会(中国独特の政策決定制度)が終了した今の時期を狙って実施に踏み切ったとの見方もある。両会前や期間中は、波風を立てないよう「安定」を維持しようとする当局の思惑と、民衆の関心の焦点は日本の地震とリビア情勢となり、インフレに対する関心度は相対的に低くくなったことに合わせて、今回の値上げのタイミングを作り出しているとみられる。
日用化成品は5~15%値上げ
中国国内で「4大化成品ブランド」と呼ばれるP&G、ユニリーバ、リビー(LIBY)、納愛斯(NICE)は、価格を上げ始めており、スポーツ用品メーカーのナイキも価格引き上げ計画を提示している。
この4大ブランドをはじめ日用品メーカーはこのほど、中国各地のスーパーマーケットに対し、洗濯用洗剤、食器用洗剤、石けん、シャンプーなどの価格を5~15%あげると通達している。今月末から4月初めにかけて、一斉に値上げする見通しを23日、国内各紙が伝えた。
この4大メーカーは、中国の洗剤やシャンプー市場の80%を占拠しているため、今回の値上げは最近3年で最も大幅な値上げを引き起こすと専門家は分析する。
海南省三亜市の宏盛デパートの経営者曾氏は、地元紙・南島晩報の取材に対し、この値上げについて、「石油価格の上昇や原材料コストの上昇、運送費用の上昇が影響している」と述べ、また現在すでに洗剤の値上げ通知を受けており、その他の日用品も値上げ傾向にあると話した。値上げは多くの商品に及んでおり、「リビーの洗濯用洗剤・トイレ洗剤、六神の虫除け・ボディソープの上げ幅は5~8%」と説明した。
即席麺も10%~15%値上げ
南方日報の報道によれば、中国の即席麺王「康師傅」のカップ麺は来月から0.5元値上げし、上げ幅は10~15%になる。これは康師傅が半年の間に実施した3回目の値上げで、以前の2回は袋麺を対象としていた。
康師傅社は、すでに全国各地に値上げ通知を出したと発表した。値上げの理由について、厳しい気候条件により運賃が上がっていることや、原材料となる粉やパーム油などの価格が上昇しつづけていることで、即席麺の利益率が押し下げられたためだ、と同社は説明している。
業界の代表企業・康師傅が値上げするたびに同業他社も追随してきたと業界筋が明かし、今回の値上げは即席麺のさらなる全面値上げにつながると指摘した。
康師傅は昨年11月に、同社売り上げの30%を占める「経典袋麺シリーズ」の価格を1袋当たり2元から2.2元に上げたことに続き、今年2月にさらに袋麺の末端価格を0.1元上げた。他のメーカーもそのたび、減量や直接値上げなどさまざまな方法で値上げを追随した。
スポーツ用品メーカー、10%一斉値上げ
スポーツ用品大手ナイキは3期の業績報告で営業収入は5.2%上昇したが石油、綿花、工賃コストおよび運賃上昇により企業利益は悪化したと報告。ナイキ中国の上層部は、原価上昇圧力により売値を上げざるを得ないとしている。
また、中国のスポーツ用品ブランド「李寧」も工賃や原材料などの原価上昇により値上げは避けられないとしている。同社のCOO・張志勇氏によれば、今年の工賃上昇は制御可能な範囲だが、原材料価格の大幅上昇、特に綿花価格はすでに2倍になっていることで、値上げに踏み切る見通し。張氏は今年度で原料コストが20%上昇すると予測している。
ナイキ以外にも、靴メーカーの「安踏」や「361度」なども、主要原材料となる綿花や石油、ゴムなどの価格上昇により、靴の販売価格を10%前後引き上げることを計画している。
インフレ進行で物価抑制は難しい
軽工業が生産する消費材の値上げについて、中国経済学者・程曉農博士は大紀元の取材に対し、物価上昇にはある種のパターンがあると指摘した。始めにいくつかの商品が値上がりし、その後は食品価格が上昇。さらにインフレ進行につれて、服飾品などの工業製品に及び、さらには全ての製造品に至るという。
経済学者の綦彦臣氏が、中国の通貨乱発が過剰流動性を引き起こしたため、通貨膨張が制御できなくなったと指摘している。加えて中東動乱による石油価格上昇が中国のインフレを悪化させ、「物価引き下げは不可能で、CPI(消費者物価指数)を3~4%上昇に留めようとしても不可能だ」と語った。
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