【大紀元日本4月15日】東日本大震災の影響で部品供給不足のため、トヨタ自動車は、欧州や北米などの海外工場を数日間稼動中止させた。これについて、天災被害に脆弱な生産体制を見直す声が、日本産の自動車や半導体はを輸入していた米国や欧州のメーカー、および専門家から上がっている。
米カリフォルニアのコンサル企業「テクノロジー・フォーキャスターズ」のパメラ・ゴードン氏は、 「ここ15年間にわたり、生産業は部品生産のアウトソースにかなり依存するようになり、外部の下請け企業に仕事のほとんどを任せてきた。供給網の実態把握に関しては無知の状態だ。このため、供給が滞ってから現状を把握するという状況に置かれている」とし、 多くの企業が津波のような天災に対するバックアップ計画を備えていないと解説する。
スペインのマドリードにあるIEビジネススクールのダニエル・コーステン教授は、「供給チェーンの多くは厳格になり過ぎ、予期せぬ事態に対応できる柔軟性を十分に組み入れていない」と語る。
また米国の物流企業リーンコー社のCEOロバート・マティチェンコ氏は、「これまで製造業は労働賃金の安い国に生産基盤を置くことを第一にしてきたが、供給が停滞した際のこれまでは目に見えなかったコストを考慮していなかった。ぎりぎりのところまで在庫をスリム化するための、グローバルな供給チェーンの発想は、今後、通用しなくなるだろう」と予測している。
世界の工場ラインに影響 日本製の輸出停止
12日付けの米紙フィナンシャルタイムズは、在庫のスリム化をはかり、必要な部品を必要な数だけグローバルに供給する「ジャストインタイム」方式の問題点を指摘した。「毎日数千万にのぼる部品が世界中で行き交うが、日本の工場で生産されている特殊部品が入手できなくなると、国外での自動車の生産ラインが停止する」と、同方式の脆弱性を伝えた。
同紙は、船舶状況も報道している。東日本大震災は、グローバルな供給網のもろさも浮き彫りにしたが、部品不足で生産停止を迫られた工場は世界的に限られており、部品を定期的に運航する船舶業は今回の天災にうまく対処できたと、アムステルダムを拠点とするセバ・ロジスティックスのブルーノ・シドラー氏は分析する。
欧米メーカーからの視点から見れば、日本製の半導体の供給不足は、韓国と台湾が穴を埋めることができる。しかし、日本の自動車メーカーの重要な部品だけは、日本での生産に依存しているため、 日本の自動車メーカーの世界的な工場に支障がでているということを、 世界の物流を見渡しながら同氏は指摘している。
日本車に対して、放射性物質による汚染があるという風評被害が海外で広がるのを防止するため、自動車メーカー団体「日本自動車工業会」は14日、輸出する日本車と部品に対して放射能測定検査を行うことを明らかにした。検査は船積前に行われ、東北関東地方のみならず、全国の工場で生産された日本車メーカー全14社が個別に行い、業界全体で安全性をアピールする。
ご利用上の不明点は ヘルプセンター にお問い合わせください。