【大紀元日本2月17日】薄熙来(第17期中共中央政治局委員、重慶市委書記)の右腕として知られる重慶市副市長で公安局長の王立軍が先週、米国領事館に駆け込み亡命を求めた事件で、王は自身と薄熙来に関する機密事項を領事館員に明らかにしたとされている。王立軍は中国の囚人を利用した臓器移植プロジェクトに関与しており、彼の証言から、海外の中国専門家らが指摘する「中国における国家がらみの臓器狩り」の実態が明らかになるかが注目されている。
臓器移植プロジェクト
2006年9月、遼寧省錦州市公安局長に着任してから3年目の王立軍は、囚人の身体を利用した臓器移植についての研究で、中国共産党傘下の光華科学技術基金会から賞を受賞している。王の研究内容と彼の受賞時のスピーチから、臓器摘出時の囚人はまだ生きており、数千人に及ぶ人体を利用して、摘出と移植の技術が研鑽されたとみられる。
王立軍は受賞時のスピーチの中で、基金会のスタッフに対し、遼寧省にある彼の研究現場まで「わざわざ苦労して」見学に来てくれたことに謝辞を述べた。「彼らは臓器移植という公益事業を見学しました。我々の人道的で民主的な法律執行を、彼らは公益事業の視点から注目し考査したのです。皆様ご存知の通り、我々の研究現場は、数千の現場における研究の集約になります」
「ベテランの警察官として、人が処刑された後、その身体から臓器が複数の身体に移植されていくのを見て大いに感激いたしました。これは壮大な試みであり、たくさんの人々の努力が関わっています。光華科学技術基金会の晋陽・理事長とそのスタッフも移植の現場におり、私たちとその経験を共有しました」
処刑の現場
中国の法輪功学習者が臓器狩りの被害者になっているという数年前の告発を受け、調査を続けるジャーナリストのイーサン・ガットマン氏は、王立軍のスピーチについてこう指摘する。「王立軍が言及している、『研究現場』の現場とは、死刑バス(死刑囚を処刑する車)のことか、臓器を手術によって摘出できる医療病棟のことでしょう」
臓器を提供するドナーが同意しているかについては、「全くその保障はない」とするガットマン氏。同氏の広範にわたる調査によれば、「臓器狩りの被害者はウイグルのモスリムか、チベットの仏教徒、『東洋の稲妻』のクリスチャン…指数関数的に最も可能性が高いのは、法輪功の人たちです。つまり、王立軍は最も野蛮な行為で受賞したのです」
王が言及する「数千件の移植手術」を可能にする人体は、犯罪者なのか、政治的な囚人なのか、あるいは1999年から迫害を受けている法輪功学習者なのか。その全容は明らかにされていない。
カナダの人権弁護士デービッド・マタス氏と前カナダ国会議員のデービッド・キルガー氏は共著『血まみれの臓器狩り』の中で、2000年から2005年の6年間にかけて、中国では6万件の臓器移植手術が行われており、そのうちの4万1,500件については、臓器のソースは法輪功学習者であると指摘する。つまり、この頃の臓器移植手術においては、ほぼ3分の2の臓器は法輪功学習者から摘出されており、この時期は王が「研究」していた時期と一致する。
生きたまま臓器摘出か
王立軍のスピーチから、また別の疑問が残る。つまり、臓器摘出時、囚人たちは生きていたのか。マタス氏は、「中国での処刑は、かつて銃殺が主流でしたが、注射による処刑にシフトしていきました」と話す。「要するに、彼らは注射器で囚人を殺しているわけではなく、麻痺させているのです。その後、身体が生きているうちに臓器を摘出しているのです」。脳死状態のドナーから摘出された臓器は急激に劣化していくのに対し、生きている身体から摘出された臓器は新しく、免疫拒絶反応の可能性も低くなる。もし薬によって身体を麻痺させたまま生かしておけば、長期にわたり臓器狩りが可能になるとマタス氏は指摘する。
いずれにしろ、王と米国領事館員との会話が公表されれば、臓器狩りの全容も明らかになるだろう。米国ワシントンの法輪功のスポークスマンは13日の記者会見で、王立軍と領事館員の会話の記録を公表するよう米国政府に求めている。
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