【大紀元日本6月26日】中国の銀行の「銭荒(カネ不足)」問題が表面化している。23日午前から24日にかけて、中国最大の銀行・工商銀行の各地の支店が相次ぎ一時営業停止となった。米政府系放送局ラジオ・フリー・アジア(RFA)が報じた。
同報道はネットユーザの書き込みからの情報として、営業停止となった地域は、北京市、上海市、南昌市、福州市、杭州市、武漢市などの大都市だと伝えた。支店全体の業務が停止するほか、ATMからの現金引き落としや、他行への振込ができないなどといった障害が起きたという。
工商銀行は23日午後0時50分、公式ミニブログ(微博)において、同日午前10時35分から11時27分の間に、一部の地区でコンピュータ・システムのアップグレードが原因で、業務の遅延が生じたと説明。だが、ユーザーらは、翌24日になっても、ATMからの引き落としができないとの情報を提供。上海のユーザーSamBettyは24日、「振り込んだはずのお金が相手に届いていない」と書き込んだ。大連市のユーザーは、工商銀行の張り紙の写真を投稿。「システム故障」「一時営業停止」と印刷された銀行の知らせに、「大連市全域で故障」「いつ回復するか、また通知する」などと手書きによる追加情報も確認できる。
銀行の「銭荒」は市民の間で不安を呼んでいる。「銀行に本当にお金がないみたい。今日、工商銀行に行ったけど、お金を下ろせなかった。中国経済は本当に崩壊するのか」とユーザーの袁躍軍さんは書き込んだ。北京に住むメディア関係者の王さんはRFAの取材に、システムのアップグレードであれば、予告があったはずだと指摘。金融市場が荒れているなかで、幹部らがこぞって財産を海外に移している。それを目の当たりにする庶民らは「大きな不安を感じている」と王さんは話した。
人民日報ウェブ版は23日、「中国経済を悲観視することは、改革を否定することだ」と題する社説を掲載。「改革の歴史的な時機に、悪意をもって中国経済を悲観視することは、歴史に対する無知と、改革に対する否定を意味する。歴史的にみれば、改革は科学的発展を実現するための動力であり、力強く前進するためのエネルギー源になるのだ」と悲観論への警戒を示し、銀行の「銭荒」が国民の恐慌に発展することへの危機感をあらわにした。
在米経済学者の何清漣氏は、中国は経済危機が起きる要素を数多くはらんでいるものの、「すぐに経済破綻が起きることはない」とみている。「中国経済も中国社会も一夜では崩壊しない。少しずつ蝕まれている状態だ」と氏はRFAの取材に語った。
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