日本商工会議所の小林健会頭は21日の会見で、アメリカのトランプ大統領が検討している自動車への25%前後の関税について、日本経済への深刻な影響を懸念し、日本政府に対してアメリカ政府との粘り強い交渉を求めた。小林健会頭は、日本の経済界代表団の一員として2025年2月に中国を訪問したばかりだ。
小林会頭は「日本の対米輸出の3分の1は自動車とその部品製造によるもので、25%の関税がかかれば非常に大きな問題になる」と指摘した。さらに「貿易を抜きにしては日本経済は成り立たず、自由な経済が国益の非常に大きな部分だ」と述べ、関税引き上げが日本経済全体に与える影響の大きさを強調した。
武藤容治経済産業大臣が近くアメリカを訪問し、ラトニック商務長官と会談する方向で調整を進めていることについて、小林会頭は「日本として関税措置に反対だということを明確に示してほしい」と述べた。そのうえで「日本を例外にしてもらうことがいちばんいいが、実行される場合には、できるだけダメージが少なくなる交渉をしてもらうことが第一だ」と、政府の交渉姿勢への期待を示した。
現在、アメリカに輸入される日本車への関税率は2.5%だが、これが25%に引き上げられた場合、日本の自動車メーカーへの影響は3.2兆円にも上るとの試算もある。小林会頭は「そのあと、各企業で輸出戦略をどうしていくのか検討しなくてはいけない。日本経済にとって重要な局面だ」と述べ、産業界としても対応を迫られる可能性を示唆した。
トランプ大統領は4月2日頃に自動車関税の引き上げを発表する可能性を示唆しており、日本政府と産業界は今後の動向を注視している。日本の自動車産業は基幹産業の一つであり、関税引き上げが実施された場合の影響は甚大となる可能性がある。
この問題に関して、日本政府は既にアメリカ側と意思疎通を行っているとされるが、今後の交渉の行方が注目される。
日本経済界代表団による訪中
小林会頭は日本商工会議所の代表として、経団連の十倉雅和会長や日中経済協会の進藤孝生会長らとともに、約230人規模の代表団を構成し、今月中国を訪問したばかりだ。
共同通信などの報道によると、代表団は2025年2月17日に北京市で何立峰副首相と会談を行った。何氏は「世界を見渡すと保守主義や一国主義が台頭している。皆さんの訪中が両国や世界の貿易促進に重要な役割を果たせると確信している」と述べ、トランプ米政権を念頭に日本との関係強化に期待を示したという。
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