【大紀元日本2月20日】中国共産党最高指導部の元メンバー・周永康氏の腹心の失脚がまた伝えられた。党中央規律検査委員会は18日、冀文林・海南省副省長を重大な規律違反の疑いで取り調べをしていると発表した。冀氏は周氏との関係が極めて近いことから、海外メディアのみならず、中国国内メディアも同氏の失脚に注目している。
冀氏は90年代から周氏の秘書として働いてきた。1998年、新たに設立された国土資源部の初代部長に就任した周氏のもとで、冀氏は秘書として務めた。翌1999年、周氏が四川省党委書記に転任すると、冀氏も同省党委で秘書職を得た。さらに、2002年末、周氏が公安部部長に就任した翌年、冀氏も再び周氏の秘書に抜擢された。冀氏の出世は周氏にピッタリ付き添ったものだった。
周氏の側近という立場が、今回の冀氏調査に多くの注目を集めた。ロイター通信やブルームバーグ、英BBCなどの主要メディアが、冀氏の失脚に焦点を当て、「腐敗撲滅」という大義名分のもと、現政権のメスはすでに周側近にまで入ったとの見方を示した。
中国国内メディアも冀氏と周氏の関係をほのめかす報道をしている。人民日報系の環球時報は19日付の社説で、「冀文林の特別な経歴が、彼の失脚に多くの関心を引き寄せた」と明言は避けたものの、周氏とつらなる経歴に言及した。
国内有力ニュースサイト・財新網は昨年失脚した周氏の側近2人、元四川省副省長の郭永祥氏と中国石油天然気の李華林・元副総裁を引き合いに、「(彼らは)違う時期に同一の前政治局常務委員の秘書を務めた経歴をもつ」と一連の取り調べの関連性を明らかにした。
北京紙・新京報はさらに、冀氏の経歴についての報道で、周氏の名を明言し、冀氏は周氏の秘書だったことを強調した。
周氏が渡り歩いた石油畑や公安畑、四川省の高官らが昨年から次々と取り調べを受けている。石油畑の蒋潔敏・中国石油天然気元会長や、公安畑の李東生・公安部元副部長、四川省の李春城・前副書記などの大物が相次ぎ失脚し、周氏と関連する各方面から現政権が攻め寄っている構図が浮かび上がる。
そういったなか、周氏への調査が水面上に浮び上がってこない。ブルームバーグは香港の学者の見解として、党内の派閥間でまだ意見がまとまらないことにあると伝えた。一方、ドイツ国際放送ドイチェ・ヴェレは、現政権が薄煕来事件と同様なやり方で周永康事件を扱うのではと張思之・弁護士の見方を伝えた。2012年3月の全人代終了後の薄煕来失脚発表と同様、来月の全人代の幕が下りたあとに、周氏への調査が明らかにされると張氏は見ている。
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