生ゴミ処理に微生物などを利用する方法は、日本ではずいぶん以前から行っている。一方、環境保護を重視するフランスでは過剰な規制によって、却って生物学的生ゴミ処理が遅れをとってしまっているようだ。つい最近、規制に触れず生ゴミ処理を事業にした「グリーン・ソルジャー」社が設立された。同社は分解によく用いられる微生物を使用せず、ハエの幼虫を利用する新しい試みで注目されている。
創設者のフランク・ブルジョアー(Frank Bourgeois)氏は北米・中米に現存する「ブラック・ソルジャー(Black Soldier Fly)」、学名「アメリカ・ミズアブ(Hermetia illucens)」と呼ばれるハエの幼虫を飼育し使用する。ブラック・ソルジャーは人を刺さず、伝染病の媒体にもならない。成虫の寿命は僅か5日で、最も衛生的なハエと言われている。
ブルジョアー氏は「10数トンの生ゴミ(約15平方メートルのバイオリアクターという措置に入れられる)に対して、一掴みのブラック・ソルジャーの卵を撒くだけで良い。幼虫が孵化してから15日以内で生ゴミを全部食べてくれ、処理が完了する」とネット新聞フランス語版ハフィントン・ポスト(Le Huffington Post)で語った。
生ゴミ処理にブラック・ソルジャーの幼虫を用いるとメリットが多く、幼虫が素早く生ゴミを食べてしまうので、7割〜9割の生ゴミを減少させることができる。幼虫の腸にある消化酵素には殺菌作用があり、生ゴミから発する悪臭を軽減させることができる。分解される生ゴミと幼虫との摩擦で40℃に達する熱の利用も考えられるなどが挙げられた。
勿論、処理された生ゴミは販売できる堆肥となる。さらに、幼虫自体は動物飼料の製造にタンパク質として使用でき、脂肪はバイオ燃料にすることができる。また、医療用のキチン質(ムコ多糖、キチンとキトサンの総称)の抽出もできるなど、利用価値が高いとブルジョアー氏が強調した。彼は近い内特許申請することを示唆した。
ブラック・ソルジャーは2億5千年前から生存しており、古のエコサイクルに回帰したとブルジョアー氏は語った。
(翻訳編集・豊山)
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