メガソーラー規制強化 政府が対策パッケージ策定

2025/12/24 更新: 2025/12/24

日本政府は23日、大規模太陽光発電事業(メガソーラー)を巡る地域住民の懸念やトラブルに対応するため、「大規模太陽光発電事業(メガソーラー)に関する対策パッケージ」を関係閣僚会議において決定した。このパッケージは、再生可能エネルギーの導入を促進しつつ、地域との共生を大前提とした持続可能な事業形態へと転換を図ることを目的としている。

急速な普及と地域社との摩擦

2012年の固定価格買取制度(FIT制度)開始以降、日本国内では太陽光発電の導入が急速に拡大した。しかし、その一方で自然環境の破壊、土砂災害への不安、景観の悪化など、地域社会において様々な懸念が生じる事例が相次いでいる。

エネルギーの多くを海外に依存する日本にとって、エネルギー安全保障やDX・GXの進展に伴う電力需要増加への対応として再エネの確保は不可欠である。政府は、地域との共生が図られた望ましい事業は促進する一方で、不適切な事業に対しては厳格に対応する必要があると判断し、今回の法的規制の強化および支援策の見直しに踏み切った。

対策パッケージの3つの柱

本パッケージは、以下の3つの柱で構成されている。

  1. 不適切事案に対する法的規制の強化
    • 環境影響評価(アセスメント)の対象規模を見直し、審査を厳格化する。
    • 森林法に基づく林地開発許可制度において、罰則や命令に従わない者の公表など規律を強化する。
    • 10kW以上のすべての太陽光発電設備について、設計不備による事故を防ぐため、第三者機関が事前に構造の技術基準適合性を確認する仕組みを創設する(令和8年通常国会への法案提出を目指す)。
  2. 地域の取組との連携強化
    • 国と地方自治体、地方三団体が連携する「再エネ地域共生連絡会議」を設置し、先進的な事例や情報の共有を図る。
    • 景観法や文化財保護法を適切に運用し、自治体が基準に合わない設置行為を制限できるよう支援する。
  3. 地域共生型への支援の重点化
    • 2027年度以降の事業用太陽光(地上設置)については、FIT/FIP制度による支援の廃止を含めて検討する。
    • 代わりに、次世代型太陽電池であるペロブスカイト太陽電池や、屋根設置型の太陽光発電など、地域共生が図られた形態への支援を重点化する。

赤澤経済産業大臣の会見

閣議後の記者会見において、赤澤経産相は「メガソーラー対策パッケージ」の迅速かつ確実な実行を強調した。

赤澤大臣は、不適切事案への規制を強化する一方で、ペロブスカイト太陽電池などの新技術については「しっかりと応援していく」と述べた。また、今回の措置は単なる規制強化ではなく、地域理解を前提とした「再エネ普及の大きな流れの中での微調整・重点の見直し」であるとの認識を示した。

今後の予測と展望

今後は、令和8年度(2026年度)にかけて各関係法令の改正や運用の見直しが順次進められる予定である。特に注目されるのは、地上設置型メガソーラーへの公的支援が2027年度を目途に縮小または廃止される可能性が高い点である。

これにより、事業者は単に土地を確保してパネルを並べるモデルから、建築物への設置やペロブスカイト等の新技術導入、あるいはメンテナンス能力を備え地域の信頼を得た「長期安定適格太陽光発電事業者」への集約が求められる時代へと移行していくと予測される。

エポックタイムズの速報記者。東京を拠点に活動。政治、経済、社会を担当。
関連特集: 国政