6月中旬以降、中国とインド間の国境で双方の兵士が対峙し続く中で、インドは中国当局をけん制するため、10日同国南部沖で米国海軍や日本の海上自衛隊と大規模な軍事共同訓練を実施した。インドはまた、チベット亡命政府への支持や、東南アジア諸国との連携を強めている。
米国とインドの海軍、日本の海上自衛隊は10日、インド南部チェンナイ沖で共同訓練「マラバール2017」を開始した。同大規模な演習に3カ国から、約15隻の精鋭艦船、2隻の潜水艦と約90台の航空機が出動された。
日本からはヘリコプター搭載型護衛艦「いずも」と護衛艦「さざなみ」が参加。米軍からは原子力空母「ニミッツ」、印海軍の唯一の空母「ビクラマディティヤ」が派遣された。
印メディアによると、インド洋で頻繁に活動する中国海軍の潜水艦を想定して演習を行った。
また印英字紙「ザ・タイムズ・オブ・インディア」(8日付)は、インド政府は東南アジア諸国連合(ASEAN)加盟10カ国の首脳に対して、来年1月インドの共和国記念日の祝典への出席を招いたと報道した。同紙は、中国当局へのけん制を強化するため、インド政府はこれまでの非同盟主義から転換し、南シナ海をめぐって中国当局と領土権を争うASEAN各国との外交関係を深めていく見通しと報じた。
さらに、印デジタル紙「ザ・ワイヤー」の報道によると、インドにいるチベット亡命政府のロブサン・センゲ主席大臣は5日、中国とインド間の国境にあるラダック地域を訪ね、「チベット独立」を象徴する旗を同地域のパンゴン湖の岸に立てた。インド国内専門家は、以前インド政府は亡命政府がこのような「政治的」行為を認めなかったが、現在、中印関係が緊張する中で、亡命政府の政治行動を黙認したと分析する。
中印国境間 兵士らによる対峙が続いている
6月中旬以来、中印双方の兵士は中印ブーダンの3国の国境を接するヒマラヤ南麓のドクラム高地で対峙してきた。印メディアによると、中国側が同地域で中国領につなぐ道路を建設しており、中国軍がインド領に侵入したことが原因だという。
ドイツ・ハンブルクで7~8日に開催された主要20カ国・地域首脳会議(G20サミット)に出席した中国の習近平国家主席とインドのナレンドラ・モディ首相は、首脳会談を行わなった。
中国国内メディアの「財新網」(10日)によると、インド問題専門家の馬加力氏は、モディ政権は安全保障に関して「戦略の自主性」から「戦略同盟」に転換しつつあると指摘した。
しかし、中国国内学者の間では、中印の国境問題が解決されなくても、両国の関係がさらに悪化する可能性が低いとの見方がある。
中国メディア「鳳凰網」傘下「鳳凰国際智庫」が10日、清華大学国際関係研究院の閻学通院長が2013年に発表した中印関係論文を掲載した。同論文によると、インド政府内や学者の間では過去、「非同盟主義」を堅持するか、それとも親米的戦略を採り、米国とともに中国当局にけん制していくかについて大論争があった。結果、政府と学者らは、今後中国当局と米国との間でバランスを取った戦略を立てていくと決めたという。
同論文では、インド政府は向こう10年に渡り、米中とのバランスを採るとの認識を持って、両国に接すると推測している。そのため、中印間で軍事的な対立はないとの認識を示した。
(翻訳編集・張哲)
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