北朝鮮の政府系ハッカー集団は、仮想通貨の一つ、ビットコインを盗もうとして、ビットコイン取引所へのサイバー攻撃を強めている。背景には、ビットコインの国際価格の高騰と、国際経済制裁による北朝鮮当局の資金枯渇があるとみられる。専門家は、各取引所に対して警戒するよう呼び掛ける。
英メディア・スカイ・ニュース(8日付)によると、独立系ネットセキュリティ専門家のアシュリー・シン(Ashley Shen)氏は同氏が率いる研究チームが最近、資金奪取で欧州や韓国の銀行やビットコイン取引所を標的にした幾つかのAPT攻撃を発見したと話した。
APT攻撃とは、サイバー攻撃の一種で、特定のターゲットに対して持続的に攻撃・潜伏を行い、様々な手法を駆使して執拗なスパイ行為や妨害行為を行うタイプの攻撃の総称だ。
シン氏らの研究チームは、このハッキング攻撃を仕掛けているハッカー集団の「ラザルス(Lazarus)」、「ブルーノロフ(Bluenoroff)」、「アンダリエ(Andarie)」は北朝鮮政府からのバックアップを受けている、との見方を示した。
専門家は、ビットコインの取引相場の急騰で、今北朝鮮のハッカー集団は仮想通貨の横領を目的としたハッキング攻撃を行っているとした。これまで、ハッカー集団はおもに機密情報の収集で攻撃を仕掛けてきたという。
ビットコインのドル建て価格は、今年始めの1ビットコイン=1000ドル台だった。11日12時時点で1ビットコイン=1万6300ドルまで急騰した。
シン氏は、ビットコインを1つの資金調達源とする北朝鮮は、ビットコイン取引所を狙うサイバー攻撃を今後も続けていくと分析した。
ロイター通信(7日付)によると、スロベニアに拠点を置く仮想通貨のマーケットプレイス「ナイスハッシュ(NiceHash)」では、サイバー攻撃を受けて76億円相当のビットコインが盗まれた。
(翻訳編集・張哲)
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