オーストラリア国防省は、中国で人気の通話チャットアプリ「WeChat(ウィーチャット、微信)」を、職員がダウンロードしたり、利用したりすることを禁止しているという。現地メディアオーストラリア・フィナンシャル・レビューが3月11日に報じた。
同省によると、オーストラリアにおける中国側のスパイ活動の懸念は強まっており、20億人のユーザーを抱える世界的SNS「Facebook(フェイスブック)」の使用も制限するよう促している。
「国防省は、WeChatなどの省が承認しないソフトウェアを携帯デバイスに使用することを提供したり、サポートしたりしない」と、同省報道官は豪州紙の取材に答えた。
報道官は、WeChatの禁止理由を明らかにしていない。現在は、安全保障の面で評価した、米国企業の開発した類似サービス「WhatsApp(ワッツアップ)」の使用を推奨しているという。
WeChatは、中国人を中心に10億人のユーザーを持つアプリで、中国大手IT企業テンセント(Tencent、騰訊)が開発した。いっぽう、ユーザー間でのメッセージのやり取りに暗号化が適用されないため、情報セキュリティのぜい弱さが問題視されている。
同社サーバーはユーザーたちのメッセージや交流情報をすべて保存している。2017年9月にプライバシーポリシーを変更し、中国共産党政府のインターネット関連法にある「保管された情報の開示」に関する法律を順守するとした。
国際人権団体アムネスティ・インターナショナルは2016年10月に発表した、世界のメッセージやSNSアプリに対するプライバシー保護の評価報告書で、WeChatに0点をつけた。
(編集・佐渡道世)
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