スペースXのロケット残骸 月面に衝突 NASA確認

2026/08/06 更新: 2026/08/06

米宇宙企業スペースXの「ファルコン9」ロケットの第2段部分が5日、月面に衝突した。月着陸機2機の打ち上げ後、約1年間にわたり軌道上を漂流していたもので、衝突時の速度は時速約8700キロに達した。米航空宇宙局(NASA)も衝突を確認した。

衝突した部品は重量約4000キロ。NASAジェット推進研究所(JPL)は4日、月面衝突の確率は「100%」と発表していた。NASAによると、5日午前2時35分ごろ、月表側のアインシュタイン・クレーター付近に衝突した。

NASA当局者は米FOXニュース・デジタルに対し、衝突によって幅約18メートル、深さ約3.6メートルのクレーターが形成され、粉塵や岩石が周囲に飛散した可能性があると説明した。

AP通信によると、チリの望遠鏡も衝突後に発生したとみられる破片雲を観測した。米ボストン大学のカール・シュミット氏は「観測結果が月面衝突の痕跡を示すことに100%確信している」と述べた。

また、欧州南天天文台(ESO)の超大型望遠鏡(VLT)は、衝突後に放出されたナトリウムとリチウムの流れを検出した。物質は数十キロに広がり、少なくとも5~10分間観測されたという。

シュミット氏は「衝突そのものの画像はない」としながらも、「望遠鏡による観測証拠は得られている」と説明した。

NASA「地球への影響なし」 再利用技術で廃棄削減へ

人工物の月面衝突は珍しいものの、NASAは地球への危険性はないとしている。

NASAによると、今回のロケット部品と同程度のエネルギーを持つ天体は、約6日に1度の頻度で月面に衝突しているという。

NASAのジャレッド・アイザックマン長官は5日、米FOXニュースの番組に出演し、「懸念する必要はない」と述べた。

同長官は、スペースXが過去数年間で600基以上のロケットブースターを回収したことに触れ、再利用可能なロケット技術の進展が将来的なリスク低減につながると指摘した。

また、「ファルコン9の第2段のようなロケットが月面に衝突する事例は極めてまれ」とした上で、将来的には「スターシップ」のような完全再利用型ロケットによって、部品を廃棄せず月面開発に活用できるとの見通しを示した。

NASA 衝突地点を観測 月探査に活用

NASAは今回の衝突を、月探査に関する科学的知見を得る機会と位置付けている。

NASAは「月探査衛星(LRO)」と、韓国の月周回衛星「ダヌリ(KPLO)」に搭載された高感度カメラ「シャドーカム」を利用し、衝突地点の撮影を試みる。

ただ、撮影の可否は月面の照明条件や衛星の軌道、探査機の位置に左右され、データ取得には数日かかる可能性がある。

NASAは「得られたデータは、人工物の月面衝突の影響や、今後の宇宙探査への意義を理解する上で役立つ」としている。

月探査競争が加速 民間企業が有人計画を支援

今回衝突したロケット第2段部分は、全長約12メートルの大型円筒形部品で、2025年1月15日にフロリダ州ケープカナベラルから打ち上げられた。

ロケットは、米ファイアフライ・エアロスペースの月着陸機「ブルーゴースト」と、日本のispaceの月着陸機「レジリエンス」を月へ向かう軌道に投入。その後、制御されない状態で漂流していた。

「レジリエンス」は月面着陸に失敗した一方、「ブルーゴースト」は着陸に成功し、民間企業による月面着陸の歴史的成果となった。

月は次世代の宇宙探査拠点として注目を集めており、NASAは将来的な月面基地建設を視野に、複数の探査機を送り込む計画を進めている。

スペースXと、ジェフ・ベゾス氏率いるブルー・オリジンは、NASAの有人月探査計画「アルテミス」で宇宙飛行士を月面へ運ぶ着陸船を提供する予定だ。

スペースXの「スターシップ」は試験飛行を重ねる一方、ブルー・オリジンの「ブルームーン」は打ち上げ前の段階にある。両社の着陸船の一方、または双方が、来年予定される「アルテミス3号」に関与する可能性がある。

宇宙飛行士による月面着陸が実現すれば、NASAのアポロ計画以来初となり、早ければ2028年の実現が見込まれている。

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