9月28日、スペースXの史上最大・最強のロケット「スターシップ」が、テキサス州の「スターベース」から第14回試験飛行を実施した。初めて地球周回軌道に入り、実際の商業ペイロードを展開した後、大気圏に再突入して太平洋への着水も果たした。
スターシップの登場から3年。開発試験から商業・科学利用へ踏み出す飛行となった。
技術面で大きな前進 準軌道から地球周回軌道へ

これまで13回の試験飛行では、スターシップの飛行軌道は意図的に「準軌道」に制限され、最も遠い場合でも地球を半周した先のインド洋までだった。制御不能になった場合でも海上に落下させ、陸地への被害を避ける狙いだった。
しかし、第14回飛行試験では、地球周回軌道に入ることが主要目標となった。計画では、スターシップを高度約275キロの軌道に投入し、約10時間にわたって地球を6周した後、チリ沖の太平洋に制御着水させる予定だった。
軌道到達により、長時間の宇宙滞在や大規模な衛星展開への道が開けた。
打ち上げ、ホットステージング、ブースターの海上着水
打ち上げでは、33基の「ラプター」エンジンを搭載した第1段ブースター「スーパー・ヘビー」が強大な推力を生み出し、全高124メートルの巨大ロケットを空へ押し上げた。
最大動圧点を通過し、第1段の主エンジンを停止した後、スターシップは独自の「ホットステージング」で分離した。
分離後、スーパー・ヘビーはブーストバック燃焼を実施した。一部エンジンで着氷の影響や異常停止が起きたものの、最終的には予定通り、スターベース沖のアメリカ湾(メキシコ湾)に着水した。
地球周回軌道へ 初の商業ペイロードを展開

上段のスターシップが上昇する途中、管制センターは3基ある真空用ラプターエンジンのうち1基が予期せず停止したことを確認した。
管制センターは一時、軌道投入を断念することも検討したが、データを分析した結果、大気圏内での飛行や軌道変更に使う3基の海面用ラプターエンジンは正常に作動していることが分かった。
管制チームは飛行続行を許可した。スターシップはエンジンを点火し、地球周回軌道に入った。軌道到達後、機体は貨物室の扉を開いた。
これまでの模擬衛星の代わりに、今回は初めてスターリンクV3衛星26基を予定軌道へ放出した。
スペースXはその後、先に展開したV3衛星との通信を確立したと発表した。
ラプターエンジンの統合・試験エンジニアジェイク・バーコウィッツ氏によると、新型衛星は第2世代衛星と比べ、下り通信容量が約10倍、上り通信容量が22倍に増えており、世界規模の高速衛星インターネットサービスの向上につながるという。
リスク回避で早期帰還 大気圏再突入後に着水
軌道飛行中、エンジン1基に異常が発生したことを受け、スペースXは機体を確実に制御したまま帰還させ、軌道上で制御不能になる事態を避けるため、任務時間を当初予定の10時間から約3時間に短縮した。
最初の重要な判断時点で、予定を前倒しして軌道離脱噴射を実施することを決めた。
スターシップは音速の20倍を超える速度で濃密な大気へ突入。大気との激しい相互作用によって、機体は約1371度に達する紫がかったピンク色のプラズマに包まれた。
機体表面を覆う約2万枚の六角形耐熱タイルが、高熱からスターシップを守った。
機体は腹部を下にしたスカイダイバーのような姿勢で降下した後、エンジンを再点火して垂直姿勢へ転換。制御された着陸噴射を行い、チリ沖の太平洋に着水した。
着水時には大きな火球が発生し、前回ほど穏やかではなかったものの、機体の一部は水面上で形を保っていた。
「アルテミス」月面計画と火星への道

スターシップの開発試験は、NASAの「アルテミス」月面計画とも密接に関係している。
軌道上での衛星展開と大気圏再突入の技術が実証されたことで、スペースXは将来の重要任務に向けてさらに一歩前進した。
アルテミス3号では来年、スターシップ、オリオン宇宙船、ブルー・ムーン月着陸船の3機による軌道上ドッキング試験を行う予定である。
アルテミス4号は早ければ2028年に実施される予定で、宇宙飛行士はスターシップまたはブルー・ムーンに乗り、人類にとって久しぶりとなる月面着陸に臨む見通しだ。
スターシップが9月28日に軌道入りを果たした日は、18年前の2008年9月28日にスペースXのファルコン1が初めて軌道に到達した日とちょうど重なる。
イーロン・マスク氏は、スターシップを将来の深宇宙探査や火星飛行を担う中核的な輸送手段と位置付けている。
第14回飛行試験では、軌道投入、衛星展開、大気圏再突入の3つの主要目標を達成した。今後はファルコン9が担う一部の任務を段階的に引き継ぎ、有人月面着陸や火星探査への活用を目指す。
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