ケイジャン資本主義 雇用創出 対中牽制 グリーンランド獲得を目指すルイジアナ州知事の構想

2026/09/18 更新: 2026/09/18

知事はエポックタイムズとの独占インタビューで、ルイジアナ州に投じられた2500億ドル(約37兆円以上)を超える投資実績を強調した。

【バトンルージュ(ルイジアナ州)】スペースXと提携して大規模開発契約を獲得したことは、ルイジアナ州のジェフ・ランドリー知事にとって大きな刺激となった。

カリフォルニア州沿岸委員会が同州でのロケット打ち上げ回数を増やすというスペースXの要請を繰り返し拒絶する一方で、ルイジアナ州は同社CEOであり世界一の富豪でもあるイーロン・マスクの革新的な精神を歓迎している。

ランドリー知事は「イーロンは、かつてアメリカの伝統であった創意工夫や夢といった精神に、まさに息を吹き込んでいる。南部は他の地域よりもそれらを深く受け入れてきたのだ」と語った。

マスク率いるスペースXは、メキシコ湾沿岸に「スターベース・ルイジアナ」と名付けられた世界最大のロケット発射基地を建設中である。持続可能な発電施設と推進剤製造設備を備えた、完全に自給自足可能なこの宇宙港の初期費用は、推定1000億ドルに上る。

ランドリー知事は知事公邸の応接室でのインタビューで「保全が必要な海岸線に彼が建設してくれることは、我々にとってまさに救命浮輪だった」と述べ、このプロジェクトが経済的進展だけでなく、長年求められてきた沿岸部の再生や高潮防護対策の強化を両立させると指摘した。

同社によると、この運用によって「多惑星間居住の未来」が実現し、2029年以降は年間数千回の飛行が予定されている。

クレオールやケイジャンの歴史が息づくルイジアナ州は、フランスやスペインに由来する伝統、温かく勤勉な気風、そして豊かな天然資源によって、古くから観光客や企業を引きつけてきた。さらに直近の相次ぐ発表により、総額2,500億ドル(約37兆円以上)を超える投資が同州の経済を大きく活気づけている。

スペースX、メタ、アマゾンとの契約に加え、シェニエール、コモンウェルス、ベンチャー・グローバル、ウッドサイドといった大手液化天然ガス(LNG)各社からの新たなコミットメントが、同州の経済情勢を一変させつつある。

 

ビジネスに開かれた州

第57代ルイジアナ州知事であるランドリーは2024年に就任し、教育、保険、治安の改革を最優先事項に掲げつつ、規制緩和と税制改革を断行してきた。同州の約500万人の住民の生活水準とビジネス環境を改善するためであり、人口は今後も増加すると見込んでいる。

「雇用を求めているのではないのか。チャンスが欲しくはないのか」とランドリー知事は語る。「我々は社会主義ではなく資本主義を受け入れている。成功には報いるのであり、罰しはしない。競争するのであって、不平を言うのではない」

新たなプロジェクト群は州全体の雇用を押し上げており、募集職種の平均年収は9万ドルを超え、新規雇用の7割以上は4年制大学の学位を必要としていない。

現代自動車(ヒョンデ)は、全米で数十年ぶりとなる新たな製鉄所を発表した。ニューオーリンズとバトンルージュの中間に位置するアセンション郡ドナルドソンビルに建設予定で、事業規模は58億ドルである。

ランドリー知事は、ルイジアナ州の成功の要因としてトランプ大統領の製造業国内回帰(リショアリング)政策を挙げた。

ドナルド・トランプ大統領(中央)は、人工知能ブームに伴う電気料金の高騰から電気料金負担者を守ることを目的とした「料金負担者保護誓約」に関する円卓会議を主催した。ルイジアナ州のジェフ・ランドリー知事(右から4番目)は、人工知能に関連したデータセンターの急増において、ルイジアナ州を主要なプレーヤーにしようと準備を進めている(Kevin Dietsch/Getty Images)

ホワイトハウス高官はエポックタイムズに対し、「トランプ大統領は、ランドリー知事のように強いリーダーシップを持つ全米の共和党知事と連携し、民間投資を促進させ、国全体の製造業復活を後押ししている」と述べた。

8月31日にトランプが発表した、650億ガロンのベネズエラ産原油埋蔵量を確保する協定も、同州の成長を促進すると期待されている。

「我々はこのベネズエラ取引の確実な受益者になるだろう」とランドリー知事は述べ、沖合で船舶から原油を陸揚げして処理時間を短縮できるルイジアナ沖合石油港(LOOP)に言及した。精製された石油はパイプライン網を通じて、需要のある全米各地の市場へ輸送される。

数十年間にわたりエネルギー部門の主要拠点であり続けてきたルイジアナ州は、隣国テキサス州に対抗し、データセンター開発でも優位に立とうとしている。

メタは州北東部にハイペリオンAIデータセンター施設を建設するため、500億ドル以上の投資を約束した。

一方で、データセンターが地域社会や環境に与える潜在的影響への批判から、全米の一部地域では新規プロジェクトが遅延している。開発反対派はエネルギー消費に対する懸念を表明し、国連大学の2026年6月の環境影響調査報告などを引き合いに出しながら、大気や水質への悪影響を抑えるためのより厳格な規制や指針を求めている。

もっとも、この反発は自発的な運動ばかりとは限らない。知事によると、中国共産党(CCP)を含む一部の外国勢力がボットや架空アカウントを用いて偽情報を拡散し、議論を複雑化させているという。

2026年8月13日、テキサス州エルパソにあるMeta社のエルパソ・データセンター。ルイジアナ州は、データセンター開発においてテキサス州のリードに挑戦しており、Meta社は州北東部にデータセンター複合施設を建設するために500億ドルを投じる計画だ(Brandon Bell/Getty Images)

 

中国への懸念

第2期トランプ政権が機密解除した文書は、中国共産党政権が米国の政財界深部にまで浸透し、世論工作や選挙をはじめとする民主主義のプロセスへの介入を企てている実態を明らかにしている。ランドリー知事は、これこそが克服すべき重大な脅威であると指摘する。

知事は、共産主義イデオロギーへの同調を検討している人々に対し、歴史を学び、抑圧的体制の定着がもたらす悲惨な結末を理解するよう求めた。

「人々が常識を取り戻し、社会主義が招く致命的な帰結を理解し始めることを願っている」とランドリー知事は述べた。「罪のない人々を虐殺した責任という点において、社会主義政権や共産主義政権以上の政府形態は存在しない。これは私個人の意見ではなく、紛れもない事実である」

知事は、中国共産党とその同盟勢力がアメリカを弱体化させようと暗躍している証拠を提示した。

「中国やロシアをはじめとする敵国は、我々が重んじる憲法修正第1条(表現の自由)を逆手に取り、実質的にアメリカ国民に対する政治的武器として利用する術を身につけた」と知事は述べた。「彼らは金を払って、『社会主義の方が優れており、資本主義は劣っている』と喧伝させている」

世界各国が人工知能(AI)やデータ技術の覇権を争っており、いま下される決断には極めて重大なリスクと好機が伴うと知事はみている。

「彼らが何をしでかすか考えてみるべきだ」と知事は語った。「彼らは文字通り、自国の民衆に対してジェノサイドを行う者たちなのだ」

ルイジアナ州知事ジェフ・ランドリー氏が、2026年5月21日、ワシントンでエポック・タイムズの独占インタビューに応じた(Madalina Kilroy/The Epoch Times)

 

グリーンランド:「我々にはそれが必要だ」

ランドリー知事はグリーンランド担当の米国特使を務めており、グリーンランドを米国の延長とし、将来的には第51の州や準州のような存在にすることを目指している。

「合意の名称が何であるかは大した問題ではない」と知事は言う。「重要なのは両国間の関係性だ」

トランプ大統領はグリーンランド買収を一貫して主張しており、安全保障上の極めて重要な案件と位置づけている。

「大統領の言う通りだ。グリーンランドは西半球にあり、モンロー主義の枠組みに合致する。我々にはそれが必要なのだ」とランドリー知事は語った。

知事は5月に同地を訪れ、現地の政府関係者や住民と対話を行い、彼らの視点や要望の把握に努めた。

「グリーンランドの人々は実際、アメリカを慕っている」と知事は述べ、豊かな漁場や天然資源を持ち、過酷な状況を乗り越えてきたという点で、現地の住民とルイジアナ州民には共通点が多いと指摘した。

「非常に温かい歓迎を受けた。彼らには極めて大きな経済的機会が開かれていると考えている」

ホワイトハウスのオリビア・ウェールズ報道官は、今年初めの代表団による訪問が現地指導者との外交的結びつきを強化する上で役立ったと評価した。

ウェールズ報道官はエポックタイムズに対し、「アメリカは、グリーンランドをめぐる自国の安全保障上の課題を前進させる上で、極めて順調な手応えを得ている。大統領も、ジェフ・ランドリー知事が国内外で発揮した力強いリーダーシップを高く評価している」と語った。

訪問後、グリーンランドのイェンス=フレデリク・ニールセン首相は記者団に対し、会談は敬意に満ちたものであったとしつつも、島の主権維持が最優先であると述べた。

「我々はグリーンランドの住民が売り物ではなく、グリーンランド人には民族自決権があることを重ねて表明した」とニールセン首相は当時語った。「これは交渉の対象にはならない」

アメリカは1941年にデンマークと「グリーンランド防衛協定」を締結して以来、この主権領土内に基地を建設してきた。第二次世界大戦および冷戦の終結に伴う一連の兵力削減を経て、2004年までに米国の軍事施設は現在のピトゥフィク宇宙基地へと統合された。

軍事拠点の縮小は、グリーンランドの地域経済に影を落としているとランドリー知事は主張する。

知事によれば、グリーンランドが産業や経済市場から孤立している現状は住民生活に打撃を与えており、住民は医療へのアクセスや十分な賃金の確保に苦慮しているという。

2026年7月21日、グリーンランドのカンゲルルススアークで、旅行者がエア・グリーンランドの旅客機に搭乗する。ルイジアナ州知事ジェフ・ランドリーは、グリーンランドとルイジアナ州の類似点を指摘しており、両地域とも豊富な漁業資源、天然資源、そして困難な状況を最大限に活用することで知られている(Sean Gallup/Getty Images)

「あの場所はデンマーク政府にとってのマネーロンダリング拠点にすぎない。実態はそうだ」と知事は語り、輸出の見返りとしてデンマークから約6億ドルの補助金が流れる構造を指摘した。「彼らには真の開かれた市場がない。すべてがデンマーク本国に独占されている」

デンマーク政府はエポックタイムズのコメント要請に応じなかった。

デンマークのメッテ・フレデリクセン首相は、7月のNATO首脳会議に到着した際、トランプ氏のグリーンランド取得発言を一蹴した。

「我々の立場はこれまで通り明確である」とフレデリクセン首相は述べた。「言うまでもなく、グリーンランドは売り物ではない」

ホワイトハウスが統括する作業部会が取引の枠組み構築に向けて利害関係者と交渉を進めており、トランプ政権からは今後数週間から数カ月のうちにさらなる詳細が示される見込みである。

「グリーンランドに対する我々のメッセージは、世界中すべての人々に伝えているものと同じだ。すなわち、アメリカはチャンスに満ちた国であり、その機会を掴み、子や孫の生活の質を向上させたいと望むなら、我々こそが最適なパートナーであるということだ」とランドリー知事は強調した。

(左から)リトアニアのギタナス・ナウセダ大統領、デンマークのメッテ・フレデリクセン首相、エストニアのクリステン・ミハル首相が、2026年9月14日、フィンランドのロヴァニエミで開催された欧州北極サミットで共同記者会見を行った。ルイジアナ州のジェフ・ランドリー知事は、デンマーク王国領内の自治領であるグリーンランドを米国が獲得することを支持すると表明した(Jouni Porsanger/Lehtikuva/AFP via Getty Images/Finland OUT)

 

「行け、タイガース(Geaux Tigers)」

日が沈むと、土曜日に控えたルイジアナ州立大学(LSU)のフットボールの試合に備え、知事公邸はチームカラーである紫と金色の光でライトアップされた。※スローガンの「Geaux」は、ルイジアナに根付くフランス系ケイジャン文化にちなんだ伝統的な綴りである)

2021年の連邦最高裁判所による「NCAA対アルストン訴訟」の判決以降、大学フットボールは法廷闘争の泥沼に陥っており、選手への報酬支払いや出場資格規定の変更をめぐる異議申し立てが司法の場で争われている。

「この判決は大学フットボールや大学スポーツ全体を混乱に陥れ、根底から覆してしまった」とランドリー知事は語る。「これを是正する唯一の方法は議会にある。問題は、議会が完全に機能不全に陥っている点だ」

知事は事実上のフィリバスター(議事進行妨害)を廃止せよというトランプ氏の要求に同調し、上院の膠着状態を打開するためにはその措置が必要だと主張した。

「上院の利己主義と60票の議決要件のせいで、我々は大学スポーツを心から楽しむことすら阻まれている」と知事は不満を漏らした。

その後、知事はタイガー・スタジアムで10万2千人のファンとともに、ホームチームがクレムソン大学を51対10で圧倒する姿を見届けた。試合中の歓声は129デシベルに達した。

「ルイジアナの人々はフットボールを愛している」とランドリー知事は誇らしげに語った。「そして何より、我々は勝つことが大好きなのだ」

2026年9月4日、ルイジアナ州バトンルージュにある州知事公邸(Travis Gillmore/The Epoch Times)
カリフォルニアを拠点とする熱心な読書家であり、ジャーナリズムである。大紀元の金融、政治、州議会、そして速報ニュースを担当している。
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