チャーリーカーク暗殺から1年 これまでに提示された証拠

2026/09/13 更新: 2026/09/13

ユタ州の裁判官は先日、検察側が相当な理由(probable cause)を証明したと判断し、ロビンソン被告は加重殺人罪およびその他6つの罪状で公判に付されることとなった。

2025年9月10日、ユタバレー大学でターニング・ポイントUSAの創設者であり保守派コメンテーターのチャーリー・カークが暗殺者に撃たれた際、瞬く間に様々な憶測が飛び交い始めた。

カークが撃たれた瞬間を捉えた生々しい映像がネット上に出回ると、政治的暴力に対する国民的な抗議の声が巻き起こった。

彼の死は、ソーシャルメディアの登場以降で初となるアメリカの主要な政治的人物の暗殺となった。各プラットフォーム上では動画の全フレームが繰り返し分析され、拡散された。あらゆる政治的立場の人間が殺害の動機を推測し、内部の犯行ではないか、あるいはイスラエル政府と何らかの繋がりがあるのではないかといった憶測を口にする者もいた。

その他の説としては、現場に2人目の狙撃手がいたというものや、左派グループがカーク殺害を共謀したというものがあった。後者の説は、殺人罪で起訴されたタイラー・ロビンソンの交際相手であるランス・ツイッグスが「性転換を模索中」であると主張していたことに端を発する。同様に、国内テロ組織に指定されているアンティファ(Antifa)が使用するスローガンが、犯行現場で発見された薬莢に刻まれていた。

カーク殺害事件においてこれまでに公表された証拠は、これらの説を裏付けるものではない。むしろ、単独犯と目されるロビンソンに焦点を当てており、検察側の主張は、ロビンソンがカークの政治的見解を封じるために凶行に及んだ人物であるという点を中心に展開している。

FBI長官のカシュ・パテルは、2025年9月24日付のXの投稿で、それらの説のいくつかについて言及した。同長官は、当局が共犯の可能性や、「暗殺時にチャーリーの近くで観察された、潜在的な『合図』としての手振り、そして容疑者の自宅への訪問者」について捜査を行っていると述べた。

パテル長官は、銃撃直後にユタ州のプロボ空港を出発したプライベートジェットがレーダーから消え、1時間後に戻ってきた理由に疑問を呈する1900万回近く閲覧されたXの投稿を受け、犯人が飛行機で逃亡したという巷の説に言及した。

「パイロットへの聴取およびFAA(米連邦航空局)との協議の結果、トランスポンダーの電源は切られていなかったと判断した。地方における飛行データの欠落が、見かけ上の空白を引き起こしていた」とパテル長官は述べた。

 

検察側の証拠

今夏の予備審問(公判を開く相当な理由があるかを判断する手続き:probable cause hearing)により、ロビンソンの殺人事件について検察側が現在までに揃えた証拠の内容が明らかになった。

検察側は9月1日の予備審問において、ロビンソンにはカークを殺害する「動機、手段、機会」があったと主張した。

ユタ州第4地区裁判所のトニー・グラフ・ジュニア判事は審問の終わりに、検察側が相当な理由を証明したと判断し、ロビンソンは加重殺人罪およびその他6つの罪状で公判に付されるとの決定を下した。

ロビンソンは7つの罪状すべてについて無罪を主張した。

本件を追っているヘリテージ財団の上級法務フェロー、ザック・スミスは、これまでのところ検察側は犯行を支援した共謀者がいる可能性を示唆していないと指摘した。

「当局は、実際に引き金を引いた人物を確保していると考えているようだ」と彼はエポック・タイムズに語った。

検察側がユタバレー大学付近で捜査官によって回収されたと主張するライフル銃の写真が、2026年7月9日、ユタ州プロボの第4地方裁判所で行われた、チャーリー・カーク射殺事件の容疑者タイラー・ロビンソンの予備審問中に提示された(Spenser Heaps – Pool/Getty Images)

表現の自由や信教の自由に関する訴訟を専門とするレムナント・ローの代表兼法務顧問であるジョナサン・フリハンは、これまでに提示された証拠は単独の狙撃手を示していると述べた。

「審問で提示された証拠によれば、監視カメラの映像からロビンソンがキャンパス内にいたことが確認されており、法医学的証言によりライフルおよびそれと共に回収された全押収品から彼のDNAが検出され、検死官の所見も単一の銃創と一致している。記録上、共犯者を示すものは何もない」とフリハンはエポックタイムズに語った。

「この殺人が組織的な陰謀の一環であったという説には、現段階で証拠の裏付けがない」

7月の証拠調べ審問により、州側がロビンソンに対して持つ証拠が初めて公に詳しく明かされた。

本裁判で有罪を立証する「合理的な疑いを超える」基準よりは緩やかな審査とはいえ、今回の予備審問を通じて、検察側がタイラー・ロビンソンの犯行責任を裏付ける極めて説得力のある主張を組み立てていることが明らかになった」とスミスは述べた。

被告タイラー・ロビンソンの予備審問中に射撃標的の画像が表示された(Spenser Heaps – Pool/Getty Images)
被告タイラー・ロビンソンの予備審問中にスクリーンに弾丸の破片が表示された(Spenser Heaps – Pool/Getty Images)

 

「チャーリー・カークを始末する」

7月の証拠調べ審問で最も劇的だったのは7月9日の証言であり、ロビンソンの元ルームメイトは、カークの射殺後にロビンソンが泣き、自身の行動を後悔していたとする録音証言を提出した。

ロビンソンからツイッグスへのテキストメッセージには、彼が犯行を認め、動機を説明し、1週間以上前から計画していた様子が記されているとされる。メッセージにはライフルが隠されている場所が特定され、刻印入りの薬莢についても言及されていた。

証言によれば、ロビンソンはツイッグスに対し、メッセージを削除し警察に協力しないよう指示したという。

ツイッグスは警察の録音・録画聴取において、カークが撃たれた後にロビンソンが帰宅した際、彼と直接顔を合わせて話したと供述した。

ツイッグスは、銃撃後のメッセージのやり取りにあった内容は事実なのかとロビンソンに尋ねたという。

「彼は、あんなことをしなければよかったと言っていた」とツイッグスは述べ、その会話の間、ロビンソンは動揺して泣いていたと付け加えた。

2026年7月9日、ユタ州プロボの第4地方裁判所で行われた、チャーリー・カーク射殺事件で起訴されているタイラー・ロビンソンの予備審問で、ロビンソンのルームメイトで恋人でもあるランス・ツイッグスへのビデオインタビューが上映された(Spenser Heaps – Pool/Getty Images)
2026年7月9日、ユタ州プロボの第4地方裁判所で行われた予備審問で、チャーリー・カーク射殺事件で起訴されているタイラー・ロビンソンと、ロビンソンのルームメイトで恋人でもあるランス・ツイッグスとの間のテキストメッセージのやり取りを示すと検察側が主張する写真が上映された(Spenser Heaps – Pool/Getty Images)

「これはタイラー・ロビンソンとその弁護団にとって極めて不利な証拠である」とスミスは述べた。

こうした劇的な証言に加え、検察側の起訴状によって新たな重要事実も判明した。証拠調べ審問でも触れられた、ロビンソンが机の上にツイッグス宛てに残したとされる手紙の詳細である。

ロビンソンはツイッグスに「今やっていることをやめて、キーボードの下を見ろ」とメッセージを送ったとされる。文書によると、ツイッグスは「チャーリー・カークを始末する機会を得た。その機会を行使する」と書かれたメモを見つけたという。

チャーリー・カークを射殺した罪で起訴されたタイラー・ロビンソンは、2025年12月11日、ユタ州プロボの第4地方裁判所で行われた公判に出廷した。検察はロビンソンを重罪殺人罪で起訴し、死刑を求刑する予定である(Rick Egan-Pool/Getty Images)

 

犯行現場

ロビンソンに対して提示された証拠には、彼が犯行現場にいたことを示すとされる映像が含まれていた。

その日、ロビンソンと特定された男がキャンパスの監視カメラに捉えられていた。別の映像には、ロビンソンのものと特定された車両が深夜、配備されていた警察官に停止させられる様子が映っている。ロビンソンはライフルを回収するためにキャンパスへ戻るところだったとされている。

ツイッグスは捜査官に対し、カーク殺害犯の捜索中に公開されたキャンパスの写真に写る男はロビンソンに似ていると供述した。

検察側は、同性愛や反ファシズムへの言及が刻印された犯行現場の薬莢を証拠として提出した。証言によると、発射済み・未発射を問わず、薬莢からロビンソンのDNAが検出された。

刻印の1つには「おいファシスト!受け取れ!」とあり、その後に当局がゲーム『HELLDIVERS 2』で使用されるコードの可能性があると指摘した一連の上向き矢印記号が続いていた。

別の薬莢には「これを読んだ奴はゲイだな(笑)」と刻まれていた。

ユタ州公安局のジェニファー・ファウムイナ巡査部長が、2026年7月9日、ユタ州プロボの第4地方裁判所で行われた、チャーリー・カーク射殺事件で起訴されたタイラー・ロビンソン被告の予備審問中に、ユタバレー大学キャンパスの地図を指差している(Spenser Heaps – Pool/Getty Images)
被告タイラー・ロビンソンの予備審問中に、「チャオチャオ」と刻印された弾丸の薬莢の画像が表示された(Spenser Heaps – Pool/Getty Images)
被告タイラー・ロビンソンの予備審問中に、「テストショット」と刻印された薬莢を含む弾薬の画像が表示された(Spenser Heaps – Pool/Getty Images)

ロビンソンのDNAは、近くの森に隠されていたライフルを包んでいたタオルや、ロシー・センターの屋上にあった「スナイパーパッド」の近くで見つかったドライバーからも検出されたとされる。

検察側の証言によれば、それらの物品から検出されたDNAがロビンソンのものである確率は、他の人物のものである確率に比べて少なくとも1兆倍高いという。

一方、弁護側はFBIのDNA分析官を厳しく追及した。鑑定手法が旧式だと指摘した上で、検査手順に落ち度があったとして、DNA鑑定の確実性を崩そうとした。

 

死刑

訴訟全体を通じて弁護側は、死刑の対象から外すことを繰り返し求めてきた。これは死刑判決の可能性がある被告にとって典型的な戦術である。

スミスは、2022年にアイダホ州の大学生4人を惨殺したとして起訴されたブライアン・コーバーガーに対するアイダホ州の死刑事件を引き合いに出した。その事件では、検察側との司法取引により彼への死刑適用が回避された。

カークの事件において、そうした取引が成立する可能性は低いと彼は述べている。

2026年7月7日、ユタ州プロボの第4地方裁判所で行われた、チャーリー・カークを射殺したとして起訴されたタイラー・ロビンソンの予備審問で、弁護人のキャスリン・ネスターが発言している(Trent Nelson-Pool/Getty Images)

「単にサディスティックな目的のためだけに行われたわけではない。メッセージを送ること、本質的に政治的暗殺となることを明確に意図していた」とスミスは述べた。「したがって、その点も検察の判断に影響を及ぼしているのではないかと考えられる。」

動機は、殺人罪で起訴するために必須ではないものの、死刑を適用する上での加重事由として確かに影響し得る。

フリハンは、ロビンソンがカークを撃ったとされる際、その場にいた群衆を死亡または負傷の危険にさらした可能性があるという加重事由を、弁護側が先頃却下させようとしたと付け加えた。弁護側は、狙撃手の銃弾は的確に命中したため、周囲の人々に対する脅威は存在しなかったと主張した。

一部の状況下で銃殺隊による死刑執行を認めているユタ州において、死刑判決はここ20年近く下されていない。

「法的に死刑を求刑できる条件を満たしていることと、現実に死刑が言い渡される可能性が高いこととは全くの別問題であるとフリハンは述べた。「死刑を言い渡すには、有罪判決の後に開かれる量刑審理で陪審員全員の一致が必要となるが、ユタ州で陪審が死刑評決を下したのは2008年が最後である」

2026年5月22日、カリフォルニア州ウェストミンスターに「オール・アメリカン・ウェイ/チャーリー・カーク・ウェイ」の道路標識が設置されている。ウェストミンスター市議会は2025年11月12日、オール・アメリカン・ウェイの一部区間に「チャーリー・カーク・ウェイ」の名誉標識を追加することを決議した(John Fredricks/The Epoch Times)
テキサス州を拠点に活動する米国のエポックタイムズ記者。州政治や選挙不正、失われつつある伝統的価値観の問題に焦点を当て執筆を行う。テキサス州、フロリダ州、コネチカット州の新聞社で調査記者として活動した経歴を持つ。1990年代には、プロテスタント系のセクト「ブランチ・ダビディアン」の指導者デビッド・コレシュについて暴いた一連の記事「罪深きメシア(The Sinful Messiah)」が、ピューリッツァー賞の調査報道部門で最終候補に選出された。