中国共産党政権による台湾政府に対する圧力に拍車がかかっている。最近、中国の両岸関係事務主任は、大陸に渡った台湾人を「国民」として見なし、身分証明証の交付を検討しているとの意向を示した。その理由について、大陸に在留する台湾人が「間違った方向へ進む蔡英文政権のせいで台湾に戻ることができない」とした。台湾行政院は、戻ることができない台湾人はいないとし、共産党の政治プロパガンダだと批判した。
5月初め、中国共産党政府の台湾事務主任・劉結氏と台湾の前安全保障理事秘書長・蘇起氏が北京で会談。劉結氏によれば、中国政府は、ビジネスや就学で大陸に渡り、台湾に戻ることができない人に身分証明書の交付を検討すると述べたという。
これについて、台湾行政院は台湾人が台湾に戻ることを阻止したことはないと否定。中国共産党政府は、台湾政府に悪印象を与える政治プロパガンダを、世界に発していると批判した。
台湾と中国本土の両岸協定によると、台湾国籍の所持者は、中国の戸籍やパスポートを取得することはできない。
徐国勇・台湾行政院(内閣)報道官は「台湾人がビジネスで本土に行って台湾に戻れなくなる、などということは、犯罪を犯した場合を除きあり得ない。中国共産党の言い方には不快感を覚える」と述べた。
台湾の対中国政策を担う行政院大陸委員会の統計によると、台湾籍を抜け中国籍を取得したのは、この13年間でわずか567人。台湾の人口は2018年3月で2357万人。国土は九州よりやや小さい、3万6000平方キロメートル。
台湾の大陸委員会によると、最近、大陸の大学へ留学を希望する中高生が増えている。しかし大陸では、両岸協定の規制や、共産党政府によるイデオロギー統制の危険性があると説明しているという。
台湾の大陸委員会は、台湾におけるキャンパスの自由は、中国より優れていると強調。学生たちは台湾で勉強することを望んでいると主張している。
(翻訳編集・佐渡道世)
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