大紀元時報英語版はこのほど、トランプ米政権の雇用・貿易政策顧問を務め、現在、非政府組織(NGO)団体「アメリカ・ファースト・ポリシース」のシニア政策アドバイザーとして活躍しているカーティス・エリス(Curtis Eills)氏に、米中貿易戦に関して取材した。
エリス氏は、中国当局が強制技術移転、サイバー攻撃、フェンタニル(合成オピオイド)の輸出などの7つの面で、米国に経済侵略を仕掛けていると批判した。トランプ政権の対中制裁関税は、中国当局によるこの「経済侵略」を阻止するための策であるとの見方を示した。
エリス氏は、主流メディアは中国当局による経済侵略を見過ごしていると指摘した。また、過去の米政権がこれらの問題について中国当局と交渉を行ったにもかかわらず、「中国当局の言い分を信じたが、中国は結局、何一つ実現していない」という。
エリス氏は、中国当局との貿易交渉の見通しについて、「合意に至らない」可能性があるとの見方を示した。主因は、米中両国とその高官らのイデオロギーにおいて、考え方があまりにも違い過ぎるからだ。
中国の一般国民は勤勉で、起業家精神を持っている。「世界各地に住み、現地で商売を行う中国人を見れば分かる。技術窃盗をしなくても、中国人はビジネスで成功する。しかし、中国共産党は違う」
「中国当局が技術窃盗を働くのは、当局の幹部がその中から権力と富を得られるからだ」
エリス氏は、トランプ大統領が過去の大統領とは違い、中国当局が非常に言行不一致であることを心得ているとの見方を示した。「大統領は、米中対立の本質、中国当局がもたらした脅威、米国が直面している困難、この3つの問題をはっきりと認識している。しかし、評論家たちはこの重要なところを見過ごしている」
「貿易戦は、米国人が中国から安価なTシャツなどの日用品を買うことだけにとどまらない。西側諸国の理念が今後も存続できるかどうかに関わる。この理念に、言論の自由、思想の自由、信仰の自由、私有財産を持つ権利、人権などが含まれている。中国当局は、人権を踏みにじり、権威主義体制で政治を行っている。それに、私有資産を持つ権利、言論の自由も認めていない。中国当局は『ポリティカル・コレクトネス』だけを国民に押し付ける」
エリス氏は、中国当局が世界覇権を握れば、国際秩序が急変し、言論検閲が常態化すると強く懸念した。
「各国政府が中国当局の顔色をうかがうことになるだろう。今、このような流れが見られる。米CBS放送はすでに、中国当局の意思に従い、自己検閲を行っている。ホテル大手のマリオット・インターナショナルは、チベット問題で中国当局の主張に異議を訴える社員を解雇した。このようなことを許してはいけない」
またエリス氏は、現在の米中貿易戦は米中冷戦の一部、またはその序奏だとの考えを示した。中国共産党政権は明白に、世界支配を通じて、農業やバイオテクノロジー、人工知能、自動運転技術など21世紀における最も重要な技術を掌握すると同時に、巨大経済圏構想「一帯一路」を通じて、世界各地の戦略的要地を軍事拠点化する野心を抱いている。
同氏は、トランプ政権はこの最悪の局面を回避するために最大限の努力をしているとした。「この思想の違いが、米中貿易戦が起きた最大の原因だ」
「米中双方が、短期間の交渉で合意する可能性は低い。(米中貿易の不均衡によって)米側が30年以上損失を被った。これを解決するには、より長い時間が必要だろう」
エリス氏は、トランプ大統領の対中関税措置を批判する人は、関税措置より最良の解決案を提示していないと非難した。「彼らは非難するだけで、中国当局による米国の価値観と経済への損害を全く阻止できていない」
同氏は、米中貿易戦は「米国の将来は大きな影響を与える」と再び強調した。
米中通商会談で、米代表団の責任者を務めるロバート・ライトハイザー米通商代表部(USTR)代表は過去、「(中国などから)安いTシャツなどを購入しても、国民のクオリティ・オブ・ライフを向上させることはできない」と話したことがある。
エリス氏は、米国の建国の父らが起草した「合衆国独立宣言」で示された「生命、自由、幸福の追求」という理念こそが、クオリティ・オブ・ライフの向上につながるとの見方を示した。
「今、トランプ政権の経済政策と他の政策はまさに、国民のクオリティ・オブ・ライフの向上を目的としている」
(記者・Jan Jekielek、翻訳編集・張哲)
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