[ワシントン 24日 ロイター] – 米中両政府の当局者や議員、通商専門家などによると、両国による「第1段階」の合意とりまとめが難航しているなか、「第2段階」の合意が実現する可能性が低下している。
トランプ米大統領は10月の中国の劉鶴副首相との記者会見で、第1段階の合意に署名後、第2段階の交渉を即座に開始するとの見通しを示していた。中国による技術移転の強要や知的財産権の侵害に焦点を当てるとしていた。
ただ、2020年11月の米大統領選や第1段階合意に向けた交渉の難航といった要因のほか、他国と協力して中国に圧力をかけることに消極的な米政権の姿勢を背景に、第1段階よりさらに踏み込んだ合意が、近い将来に結ばれるとの期待が薄れていると関係筋は語った。
ロイターは20日、第1段階合意への署名が来年にずれ込む可能性があると報じた。中国が要求している広範な関税の段階的撤廃を巡る対立が、解消していないためだという。
中国政府の当局者らは、トランプ氏が再選を果たすか見極めたいなどの理由から、米大統領選前に第2段階合意について協議するとは見込んでいないと述べている。
中国政府のある当局者は「合意に署名したいのはトランプ氏で、中国側ではない。われわれは待てる」と語った。
このような中国側の姿勢については、米下院の農業関連委員会の委員である民主党のジム・コスタ議員が20日に議会で、「プラグマティックな」中国筋から同様の説明を受けたと明らかにしている。
トランプ政権の高官によると、トランプ氏にとって現在の最優先事項は、注目度が高い第1段階合意を発表して中国による米農産品の大型購入を確定し、それを来年の大統領選に向けて1期目の重要成果だと強調することだという。
その後は、トランプ氏が国内問題に関心を向け、対中政策の優先度が低下する可能性があると高官は語った。
農産品以外の主要な争点については政権高官に協議を任せるとみられ、高官らは今後も引き続き、中国による米企業の知的財産権の侵害や南シナ海の軍事拠点化、人権の扱いといった問題で中国に対応を迫る可能性が高いという。
別の米政府高官は「第1段階が完結し次第、第2段階の交渉を開始する」と述べた。「第2段階合意がまとまるタイミングについては推測できない」とした。
米政府の元高官で米戦略国際問題研究所(CSIS)の通商専門家であるマシュー・グッドマン氏は、米中ともに市場を落ち着かせ、国内政策を巡る懸念を和らげるために早期に第1段階合意を締結することに明らかに関心があると指摘。ただ、より広範な合意が米大統領選前にまとまるという確信は持てないとした。
同氏は前週の議会への説明で、中国側は今春時点では可能だったかもしれない構造改革への意欲が後退しており、「改革を実行する見通しはない」と語った。
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