トランプ氏がイランに残した3つの選択肢

2026/04/29 更新: 2026/04/29

本稿は、ポッドキャスト『Victor Davis Hanson: In His Own Words』の4月23日放送分を、読みやすく編集した記録である。

イランとの戦争が始まって約60日が経過した。メディアや現政権、そして当然ながらイラン側からも、多くの相反する情報が飛び交っている。イランには実質的な政府が存在せず、競合する派閥が乱立している状態だ。テヘランで誰が実権を握っているのかさえ定かではない。

ここで、イランに残された選択肢が何であるかを迅速に整理しておく必要がある。なぜなら、多くの人々は「生存」と「勝利」あるいは「優位」を混同するという、根本的な論理的誤りを犯しているからだ。両者は別物である。イランが生存できるかどうかは、米国が軍事的、政治的、道徳的、あるいは倫理的に何を選択するかにかかっている。

国家が存続しているからといって、その国が勝っていることにはならない。ナチス・ドイツは壊滅したが、国家としては存続した。日本も焦土と化したが、存続した。したがって、現在イランが大言壮語を吐いているからといって、彼らが完敗していないということにはならないのである。

次に問うべきは、少なくとも現体制(レジーム)が生き残れるかどうかだ。彼らには3つの選択肢がある。

第一の選択肢は、ソフトパワー派、つまり非強硬派の台頭だ。イランにおける議会選出の公職者たちが、現状のまま降伏することである。もっとも、彼らは「降参だ」と直接口にするわけではない。その代わりに、「米国の要求を受け入れる」と言うだろう。つまり、国際的な査察を受け入れ、濃縮ウランを放棄し、ミサイル、ロケット、ドローンの在庫を差し出す。これらを放棄せざるを得なくなるのだ。

第二の選択肢は、私がこうして話している間にも彼らが始めようとしていることだ。すなわち、第二の選択肢は、私がこうして話している間にも彼らが始めようとしていることだ。すなわち、小型高速艇(PTボート)を繰り出し、そこに搭載したロケット弾や小口径の砲、機関銃、魚雷などを用いて、民間タンカーを襲撃することである。もし我々がこれに応戦すれば、彼らは湾岸諸国やタンカーを攻撃し、あるいは我が国の艦隊にミサイルを撃ち込む可能性もある。

第三の選択肢、そして彼らが最も好むであろう選択肢は「引き延ばし」だ。我々が7代の大統領にわたって見せつけられてきた、あの47年間と同じ手法である。

「交渉には応じたい。核濃縮も放棄するつもりだ。だが、今日は無理だ。昨日は放棄すると言ったが、考え直した。ミサイルも放棄しよう。ただし、ヒズボラを合意の対象外にしてくれないか」。絨毯商人のように、交渉と物々交換を繰り返し、ひたすら時間を稼ぐ。なぜ彼らはそうするのか。

彼らは米国の中間選挙まであと半年しかないと感じているからだ。クリス・マーフィーのような民主党上院議員が、「12隻のタンカーが封鎖を突破した」というイラン側の真っ赤な嘘を「素晴らしい」と称賛するのを聞けば、彼らは希望を抱く。米国の現職議員が嘘を増幅させ、あろうことかそれを肯定的に論評しているのだ。

トム・フリードマンが「(中東で)彼(トランプ)に負けてほしいが、ドナルド・トランプに力を与える結果になるなら話は別だ」と述べ、ティム・ウォルズやクリス・マーフィーがマドリードの社会主義会議に出席するのも同様だ。イラン側は、欧州や米国内で反対勢力を構築できると考えている。

皮肉なことに、現在の中東のアラブ諸国、少なくとも湾岸諸国は、米国の左派よりも親米的な姿勢を示し、この戦争を支持している。しかしイランは、米国の左派がトランプに圧力をかけ、中間選挙で勝利して上下両院を支配し、戦争権限法を発動して予算を断つことができると考えている。実際にはそうはならないだろうが、それが彼らの戦略の一つだ。

では、アメリカの報復戦略はどうあるべきか。手段は豊富にある。現在、我々は封鎖を敷き、経済戦を仕掛けている。武器の輸入と石油の販売を阻止し、現体制を兵糧攻めにしようとしているのだ。報道によれば、この封鎖によってイランは1日あたり4億2000万ドルの損失を被っているという。問題は、カスピ海経由でロシア製兵器を輸入するルートが存在することだ。

また、2カ国を経由して中国へ通じる鉄道網もある。空輸以外にも物資を運び込むメカニズムはあるのだ。そのため、どの程度の物資が流入しているかは正確には把握できていない。また、封鎖前から航行中のイラン製石油タンカーが世界中に存在するため、決着には予想以上の時間がかかるかもしれない。

それはトランプが下すべき決断となるだろう。彼には世界経済、欧米のガソリン価格、迫りくる中間選挙、支持率、そしてMAGA支持層からの離反といった圧力がのしかかる。

しかし、それ以外については、彼らがそうするように、我々も対話を続ければよい。カードを握っているのは我々だ。彼らは資金を垂れ流しているが、我々はそうではない。我々は彼らの石油も天然ガスも石油化学製品も必要としていない。圧力を感じているのは、それらを必要としている我が国の友人たちだけだ。

第二に、もし彼らが最近のタンカー攻撃のように封鎖を強行突破しようとするならば、我々は全面戦争に戻る必要はない。ただ肩をすくめてこう言えばよい。「おや、この橋はもういらないようだな」。そして、あらかじめ予告した上で橋を破壊し、翌日には4、5箇所ある発電所の一つを破壊する。

全面戦争ではなく、あくまで「目には目を」の対応だ。彼らの打撃は微々たるものだが、我々の打撃は甚大であり、それが経済的な締め付けを加速させる。もし彼らが攻撃を続け、戦争が長引くと判断すれば、彼らの石油の90%を産出する拠点を叩くこともできる。

現在、ベネズエラがイラン産石油の不足分を急速に埋め合わせている。ちなみに、イラン産石油の80%は中国へ向かっていたものだ。米国は石油の増産を進めており、ベネズエラもそれに続いている。我々がこの(イランに対する)封鎖を強化すればするほど、イラン産に代わって、他の中東諸国などの石油がより円滑に、かつ大量に市場へと流れるようになるのだ。

我々はイランのカーグ島に対し、こう通告すればよい。「貯蔵施設は攻撃しない。カーグ島へのパイプラインも破壊しない。だが、桟橋、クレーン、港湾施設は破壊する。石油をいくら貯蔵しても、次の政権(願わくば民主的な暫定政府)のために取っておくがいい。お前たちは、たとえ船を接岸させたとしても、石油を輸出することはできない」。

中立を装ったリベリア船籍のタンカー(実際には中国が支配しているもの)がイラン沿岸に接近し、カーグ島に停泊しようとしても、上空からの攻撃で無効化できる。地上軍を派遣する必要はない。

結論として、我々には多くの選択肢があり、イランにはほとんどない。だが、もう一つ覚えておくべきことがある。敵を完膚なきまでに叩きのめすことと、無条件降伏を突きつけて政府を退陣させることは別問題だ。後者にはより多くの時間が必要であり、おそらく地上軍の投入も不可避となる。

それは現時点の議題ではない。しかし、地上軍を送らずとも、この体制を絞め殺し、西側諸国やパートナーにとっての日常を守ることは可能だ。今後数日のうちに、そのような動きがより鮮明になるだろう。

(本稿は、ヘリテージ財団の発行物『The Daily Signal』の許可を得て転載されたものである。)

ビクター・デイヴィス・ハンソン(Victor Davis Hanson)は、古典学者および軍事史家です。カリフォルニア州立大学の古典学名誉教授であり、スタンフォード大学の古典学・軍事史シニアフェロー、ヒルズデール・カレッジのフェロー、そしてセンター・フォー・アメリカン・グレートネス(Center for American Greatness)のディスティングイッシュト・フェロー(特別客員研究員)を務めています。 ハンソン氏はこれまでに、『The Western Way of War(西洋の戦争のやり方)』、『Fields Without Dreams(夢なき耕地)』、『The Case for Trump(トランプを支持する理由)』、『The Dying Citizen(死にゆく市民)』を含む17冊の著書を執筆しています。
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