[シドニー 4日 ロイター] – オーストラリア連邦統計局が発表した2019年第4・四半期の実質国内総生産(GDP)は前期比0.5%増と、市場予想の0.3%増を上回った。年明け以降は森林火災や新型コロナウイルスの影響で観光業などが打撃を受けているが、当面はリセッション(景気後退)のリスクが後退した。
第3・四半期は0.4%増から0.6%増に上方改定された。
第4・四半期のGDPは前年比では2.2%増。政策当局者が「トレンド」と見なす2.75%を依然として大幅に下回っている。市場予想は1.9%増だった。
GDP統計が予想を上回ったことを受け、豪ドルの対米ドル相場<AUD=D3>は発表前の0.6577米ドルから一時0.4%上昇し、0.6611米ドルを付けた。
ただ、新型ウイルスの感染拡大による世界経済への影響が当初の想定よりも大きくなるとみられる中、豪経済の先行きも厳しくなる見通しだ。
豪準備銀行(RBA、中央銀行)は3日、新型ウイルスを巡る懸念に対応するため、政策金利のオフィシャルキャッシュレートを0.75%から0.5%に25ベーシスポイント(bp)引き下げた。
フライデンバーグ財務相は、第4・四半期のGDP統計を歓迎した一方、新型ウイルスの感染拡大を踏まえ、近く財政出動を発表する可能性を示唆。
「政府は的を絞った責任ある一連の措置を策定している」と述べ、企業の事業継続や雇用維持を念頭に置いた対策だと説明した。企業の投資を対象とした税控除が含まれるとしたが、その他の詳細は明らかにしなかった。
中国本土からの入国制限などで観光、教育、小売セクターが打撃を受ける中、エコノミストの多くは第1・四半期のGDPがマイナスに陥ると予想している。ただ、第4・四半期がプラス成長となったことで、景気後退入りのリスクはいったん回避した。
NABのエコノミスト、Kaixin Owyong氏は「第4・四半期はまずまずの結果だったが、政策当局者にとっては、新型ウイルスの影響で第1・四半期がマイナス成長となる可能性のほうが懸念材料だろう」と述べ、4月に25bpの追加利下げがあると予想した。また、豪中銀は国債買い入れなど量的緩和の検討を迫られる可能性が高いとの見方を示した。
第4・四半期のGDPは、昨年の利下げや減税を受けた家計の裁量支出や、資源輸出、住宅販売の増加が寄与した。
統計では、国内の財・サービス価格が予想外に低下したことも明らかになり、需要が予想より弱く、実際の成長が依然として軟調である可能性を示唆した。
シティのエコノミスト、ジョシュ・ウィリアムソン氏は第4・四半期GDPについて、豪中銀は成長率ではなく、国内の軟調さを示す内訳に注目すべきだと指摘。そのうえで、4月の25bp追加利下げを引き続き予想していると述べた。
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