このほど、政府は国の安全保障に関する機密を保護する特定秘密保護法を5年ぶりに改正した。対中国防衛が念頭にあるものとみられる。法改正によって情報共有網が米国からインド、オーストラリア、英国、フランスに拡大される。中国軍の動向への監視強化や自衛権の拡大、防衛装備品の開発などで各国と協力することが可能となる。
日経アジアンレビューは7月3日、6月の特定秘密保護法の改正に伴い、インド、オーストラリア、英国、フランスを、米国との情報交換の対象に加えたと報じた。自衛隊と協力する他国軍の表記も、「米国」から「外国」に変わり、範囲を拡大した。
外国軍の情報を国家機密に分類すれば、装備開発のための共同訓練や連携が容易になる。また、日本政府が独自にこの地域での中国の活動を追跡することが難しくなっているため、中国軍の動向に関するデータの共有も容易になる。
また、今回の法改正では、日本が集団的自衛権を行使し、一定の状況下で他国の軍隊に燃料や弾薬を供給できるようになる。
同紙は、この動きは近年の日本当局の防衛協力関係の拡大を反映していると伝えた。 昨秋には自衛隊と豪軍が初めて合同戦闘機訓練を実施し、2015年からは毎年、日印マラバル海戦演習を行っている。
軍事機密の共有によって、他国との防衛装備品の共同開発にもつながる。英国とは空対空ミサイルの試作品を、フランスとは共同で無人航空機を使った水中機雷を探知する技術を開発している。
横須賀を拠点とする米海軍第7艦隊は7月4日、米国の「ニミッツ」空母戦闘群と「ロナルド・レーガン」空母戦闘群で構成される打撃群は、声明発表と同日から、「自由で開かれたインド太平洋地域を支持し、南シナ海で2隻の空母演習を行う」とした。独立記念日に始まる演習は、「海洋戦力では比類がない」と述べた。
いっぽう、中国軍も7月1日から5日間、南シナ海での演習を実施している。米中海軍が南シナ海で同時に訓練を行うことは異例だ。
米第7艦隊は声明の中で、ニミッツ空母打撃群が演習中に「急速に進化する作戦区域で、防空能力を最大化し、空母ベースの航空機による長距離精密海上攻撃の射程を拡大させ、いくつかの戦術演習を実施する」とした。
6月30日付け米軍機関紙スターズ・アンド・ストライプス(星条旗新聞)によると、インド太平洋地域の米軍は増員される可能性がある。トランプ米大統領は6月中旬、ドイツの兵力を約1万人削減する計画を発表した。
米国家安全保障顧問ロバート・オブライエン氏は、6月29日、ウォール・ストリート・ジャーナルへの寄稿文で、中国を念頭に置き「冷戦後この地域で、アメリカと同盟国は最も重要な地政学的課題に直面している」とした。同氏は、「米国は日本、韓国、シンガポールで軍事的プレゼンスを維持することを望み、オーストラリアのような地域にも輪番制で派遣されるだろう」とした。
メリーランド大学の国際キャンパスで在韓米軍内で勤務するアジア問題専門のコード・スコット教授は、米軍がアジアへ移転することは理にかなっていると語った。
「経済的、軍事的な脅威の多くはアジアにある。今、インドと中国の間で緊張が高まっている」「極東の機動部隊は、海上領土紛争や朝鮮半島に関連した危機に対応することができる」とスコット教授は付け加えた。
(翻訳編集・佐渡道世)
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