米国上院議員5人が映画配信サービス「ネットフリックス(Netflix)」へ書簡を送り、中国SF作家・劉慈欣(リュウ・ジキン)のSF小説『三体(さんたい)』実写版の映画制作を撤回するよう求めた。劉氏が、中国共産党による新疆ウイグルでの人権迫害を擁護したことがその理由だ。
『三体』は中国において最も人気のあるSF小説の一つ。2006年5 ~12月まで中国のSF雑誌「科幻世界(中国語版)」で連載され、のち出版された。2019年に出版された日本語版もベストセラーとなった。
ネットフリックスは今年9月初め、これらの作品をオリジナルシリーズとして映像化すると発表。原作者の劉慈欣氏をコンサルティングプロデューサーに迎え、「ゲーム・オブ・スローンズ」の脚本家デヴィッド・ベニオフ氏とD・B・ワイス氏、アレクサンダー・ウー氏、さらには『スター・ウォーズ/最後のジェダイ』の監督であるラム・バーグマン氏らが脚本と製作指揮を務めるとした。
しかし、この動きに米議員は待ったをかけた。9月24日、テネシー州のマーシャ・ブラックバーン(Marsha Blackburn)上院議員がネットフリックスのコンテンツチーフであるテッド・サランドス(Ted Sarandos)氏に書簡を送り、「この決定を真剣に再検討するよう」促した。他にもリック・スコット(Rick Scott)氏、ケビン・クレイマー(Kevin Cramer)氏、トム・ティリス(Thom Tillis)氏、マーサ・マクサリー(Martha McSally)氏など、4人の米共和党上院議員らも同書簡に署名している
上院議員らは書簡の中で、同作品の作者の劉慈欣が2019年の「ザ・ニューヨーカー(The New Yorker)」誌のインタビューで、「多くのウイグル人はテロリスト」と中国共産党の公式見解と同様の主張をしたと指摘した。
「中国共産党による新疆ウイグル人の大規模な監禁について」の理解を同誌記者が聞くと、劉氏は「駅や学校でテロを行わせる方がいいのか」と答えた。
同氏は続けて、「何かあるとすれば、政府は彼らの経済を助け、貧困から抜け出させる努力をしているだけだ」「この国が少しでも気を緩めれば、結果はとんでもないことになる」と語った。
上院議員らは、「中国共産党が新疆ウイグル族に対して組織的に行っている大量収容や強制労働、思想的教化、非自発的検診、強制不妊手術や中絶など罪行の規模は、種族絶滅に達する可能性がある」と指摘する。「悲しいことに、一部の米国企業は依然として積極的にまたは、暗黙の了解のうちにこれらの犯罪を擁護または正当化している」「劉氏の作品を実写化することは中国共産党の犯罪を支持することに等しい」と厳しく批判した。
同上院議員らは、ネットフリックスが中国共産党が新疆ウイグルで行ってきた数々の残虐行為に真剣に向き合い、中国共産党に同調する劉氏の作品を実写化する意味合いを真剣に再検討すべきだと述べた。
(大紀元日本語ウェブ)
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