オーストラリア政府は国家安全保障上の懸念から、一部研究者の研究助成金の申請を却下した。なかに中国の海外ハイレベル人材誘致プログラム「千人計画」の参加者や、中国軍の大学とつながりを持つ研究者が含まれている。
同国のオーストラリアン紙16日の報道によると、オーストラリア研究会議(Australian Research Council、ARC)に提出された18件の申請が政府の安全部門による追加審査を受け、うち5件が却下された。審査に合格すれば、最高50万豪ドルの研究費が支給される。豪政府がこのような決定を下したのは初めてだという。
ARCは研究開発について政府に助言を行う独立連邦機関で、税金で賄われている研究助成金を管理している。
却下された申請には、IoT(モノのインターネット)の無線通信、レーダー、衛星システムに関する研究や、自動運転技術、ロボットに応用可能なナノテクノロジー、レーザー、次世代電力網と燃料電池の先端技術などの開発が含まれている。
アラン・タッジ教育・青年担当相は申請を却下された研究者の詳細を明かさなかった。オーストラリアン紙は千人計画のメンバーが含まれているとし、そのうちの一人が中国軍の大学と繋がりがあると報じた。
千人計画は、外国の研究者に資金を提供し、その見返りとして中国が研究成果を利用できる。
「オーストラリア戦略政策研究所(ASPI)」に所属するアレックス・ジョスケ(Alex Joske)氏は今年1月、同国議会に提出した調査報告で、過去20年間、中国共産党政権がオーストラリアで325人の科学者をスカウトし、2億8000万豪ドル(約230億円)規模の助成金詐欺に関わったと指摘した。
そのうち59人は、ARCから高額の研究費を受けながら、中国の研究機関に勤務している。すべての助成金提供契約では、受給者に利益相反の開示が義務づけられており、中国政府の人材募集プログラムに参加した場合、助成金提供のガイドラインに違反する可能性がある。
オーストラリアン紙は昨年8月、千人計画や同様な人材計画に参加する同国科学者32人のリストを公開した。
(翻訳編集・李沐恩)
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