ウクライナ東部で緊張高まる ロシアは兵力増強

2021/04/11 更新: 2021/04/11

今年に入り、ロシアを後ろ盾とする親ロシア派の武装勢力とウクライナ軍との間で散発的な戦闘が相次いでいる。さらに、ロシア軍が軍事演習を行うためにウクライナとの国境付近に集結しているとの報道もある。ロシアの軍事力を前に、ウクライナはNATO加盟を模索するとともに、守りを固めている。

米国のサキ大統領報道官は8日の記者会見で、ロシアが2014年のクリミア併合以来、最も多くの軍隊をウクライナの東部国境に集結させていると指摘し、米国は警戒を強めていると述べた。

さらに、ソーシャルメディアに投稿された動画には、ロシア軍の戦闘車両が列車で輸送されている様子が映し出されている。

ロシアの強大な軍事力を前に、ウクライナはNATO(北大西洋条約機構)への加盟を試みている。いっぽう、ロシアはウクライナのNATO加入に強く反対している。

4月2日、ロシアのドミトリー・ペスコフ報道官は記者に対し、NATOが軍事力をウクライナに展開しようとすれば両国の緊張感をさらに高めるだろうと、NATO側を牽制した。

同国のラブロフ外相は同日、ウクライナ軍はこの地域での「激しい紛争」を望んでいないと信じていると述べた。「私はウクライナ軍人が、米国によって『扇動』された政治家に『扇動』されないことを願っている」と語った。

ドネツク地方の前線をパトロールするウクライナ軍兵士 (Photo by STR/AFP via Getty Images)

ウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領は6日、NATOのイェンス・ストルテンベルグ(Jens Stoltenberg)事務総長と電話会談を行った。会談後、ゼレンスキー大統領は自身のツイッターに「NATOだけがドンバスでの戦争を終わらせることができる」と投稿し、ウクライナのNATOへの加盟を進めるべきとの考えを示した。

ウクライナも国境防衛強化 大統領が前線視察

緊張が高まるなか、ウクライナは東部国境で防衛陣地を構築し、戦闘に備えている。同国のゼレンスキー大統領は8日、ウクライナ東部国境付近のドンバス地域を訪問し、前線の防衛施設を視察した。大統領は「犠牲者が出た時は応戦しなければならない」と述べ、強い姿勢を示した。

前線を視察するゼレンスキー大統領(ウクライナ大統領府より)

2014年、ロシア系住民が多いウクライナ東部ではロシアへの編入を目論む分離派による武力紛争が勃発した。混乱のなか、ロシアはクリミア半島を併合した。統計によると、ウクライナ東部での紛争により、1万3000人以上が死亡した。

塹壕にいるウクライナ軍兵士。手にしているのはヘルメットをかぶせたマネキン (Photo by STR/AFP via Getty Images)

(王文亮)

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