[ワシントン 6日 ロイター] – 米欧とイランの当局者は6日、2015年イラン核合意の履行再開には双方になお大きな溝があるとの認識を示した。ただ、米当局者は、イラン側が望めば数週間以内の合意も可能だと指摘した。
米国は今週、核合意再建に向けたイランとの間接協議をウィーンで再開する。
米国務省高官は匿名を条件に、「向こう数週間中に相互に履行を再開する、もしくは相互履行で一致することが可能かと問われれば、イエスだ」と記者団に述べた。
その可能性が高いかどうかについては「時間が経たなければ分からない。最終的にはイラン側が決めるべき政治的判断の問題だ」と語った。
事前に明らかになった米NBCニュースによるインタビュー内容によると、ブリンケン国務長官は、イランが完全履行の再開に必要な決定を下す用意があるかどうか米政府は承知していないと述べた。
イランの核交渉を担当するアラグチ外務次官は国営テレビに対し「時期は予測不可能であり、時間枠を設定することはできない。イランはできるだけ早期の実現に努めているが、何事も急ぐことはない」と述べ、まだ道のりは長いとの認識を示した。
欧州の外交官が匿名を条件に明らかにしたところによると、米政府は石油・ガスや銀行など主要セクターの制裁解除を含む包括的な案を提示し、テロや人権に関連する制裁の緩和についても一定の用意を示した。
ただイランは、高性能の遠心分離機の作業で得た知識の放棄や遠心分離機の破棄などに応じる姿勢を示していないという。
この外交官は、イランの最高指導者が米国から一段の譲歩を引き出せるとの思惑から、6月18日の大統領選までの合意を目指さない可能性があるとの見方が西側外交筋の間で強まっていると語った。
前出の米当局者は、選挙までの核合意再建が可能だとした上で、イランは自国の義務を減らそうとする一方で、米国に対し当初の合意内容以上の要求をするべきではないとくぎを刺した。
その上で「今後数週間で合意するにはペースを加速させる必要があるが、保証はない」と述べた。
ご利用上の不明点は ヘルプセンター にお問い合わせください。