米国の中国問題に関する超党派の連邦議会・行政府委員会(CECC)は23日、中国が新疆ウイグル自治区のウイグル人に対する深刻な人権侵害を停止しない場合、2022年の北京冬季五輪を延期し、開催地を変更するよう国際オリンピック委員会(IOC)に求めた。
CECCの委員長であるジェフ・マークレイ上院議員と共同委員長であるジム・マクガバン下院議員は、IOCのトーマス・バッハ会長に宛てた書簡の中で、「政府が大量虐殺や人道に対する罪を犯している国では、いかなるオリンピックも開催されるべきではない」と訴えた。
この書簡には、マルコ・ルビオ上院議員とクリストファー・スミス下院議員も署名している。
CECCはIOCが適切な措置をとることは、アスリートにとっても最善の選択だとし、「IOCがアスリートに対して、競技上の目標を達成するために良心を犠牲にさせたり、その逆を強いることは不当であると考える」とした。
さらにCECCは2018年にIOCに対して、中国共産党政権によるウイグル人をはじめとするイスラム系少数民族を対象とした弾圧を停止するよう求めたが、IOCはその要請に正式に応じなかったと指摘した。2018年の以降、新疆ウイグル自治区での人権侵害は、悪化の一途をたどっている。
IOCは国際的な政治問題に対して中立の立場を取り続けると主張し、中国政府に行動を改めるよう圧力をかけた形跡はない。
また同委員会は、中共ウイルスにより東京五輪が開幕4カ月前に延期されたことに言及し、IOCには大会を延期する権限があると主張した。
「新疆ウイグル自治区でのジェノサイドや人道に対する罪を含む重大な人権侵害を終わらせ、開催国政府が具体的な措置を講じるための期間を設けるために、第24回冬季オリンピックの延期の発表を望む」とした。また、中国での人権状況の根本的な改善が検証されない限り開催地を変更するよう訴えた。
IOCや中国政府からの回答は得られていない。
CECCは27日に2022年冬季五輪の米国企業スポンサーに関する公聴会を開催する予定。
この書簡は中国の人権問題をめぐり、国際的な非難が高まっているなか、発表された。
欧州議会は、中国が人権状況を検証可能なかたちで改善しないかぎり、北京冬季五輪への政府代表や外交官の招待をボイコットする決議を採択した。
米国は、ウイグル人の強制労働が疑われる製品の輸入規制や、人権侵害に関与しているとする個人や団体への制裁など、ウイグル人への虐待を行っている中国に対して制裁措置をとっている。
中国は約180万人のウイグル族などを「広範かつ組織的」に施設に収容し、拷問や政治教化を行っているが、中国政府はテロリズムや宗教的な過激主義と戦っているとし、問題となる行為はないと主張している。
(翻訳編集・蓮夏)
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