自分で何もせず他人の保護に頼るという選択肢ない=蔡英文総統、アフガン情勢受けて

2021/08/19 更新: 2021/08/19

アフガニスタン情勢の急変を受けて、中国の軍事的な圧力にさらされる台湾の姿勢が注目されている。台湾では、米国からの支援に対する期待感を引き下げるべきとの議論が起きている。こうしたなか、蔡英文総統は、台湾は自主防衛が重要だとの考えを強調した。

蔡総統は18日、フェイスブックで「最近のアフガニスタン情勢の変化により、台湾では多くの議論がなされている」と書いた。「台湾の唯一の選択肢は、私たち自身をより強くし、より団結し、より毅然とした態度で自分たちを守る決心を持つことだとお伝えしたい」、「自分で何もせず他人の保護に頼るという選択肢はない」として、台湾の自立性を強調した。

さらに、中国共産党政権に屈服することもないことを表明した。「台湾に対する武力行使を放棄しない人たちによる一時的な善意や慈善に頼ることはできない」と述べ、ワクチン寄付などを通じて親中派に傾けようとする中国共産党の世論工作をけん制した。

米国は、台湾にとって最も重要な非公式の同盟国であり、近年は「台湾同盟国際保護強化イニシアチブ法案(TAIPEI法)」や「台湾関係法」などの可決により、安全保障や経済関係の強化も進んでいる。いっぽう、カブールの米軍撤退により、米国の国際的な紛争への関与姿勢は、当該国の自主防衛に重点が置かれるとの見解を示している。

バイデン大統領は8月16日の声明で、アフガニスタンにおける米国の人的な犠牲と巨額投資を強調し、これ以上現地で戦いの継続しないことを改めて表明した。また、「アフガニスタンの政治指導者たちは、(悪化する国内情勢の立て直しを)あきらめて国外に逃亡した。 アフガン軍は崩壊し、戦おうともしなかった」と非難した。バイデン政権は5月1日に米軍撤退を表明しており、この考えに変わりはないという。

中国共産党は、米国の国際的な信用を失墜させようとする試みとして、アフガニスタンにおける「失策」を強調している。党機関紙・人民日報傘下の環球時報は「今日のアフガニスタン、明日の台湾?」「米国の裏切り、民進党を脅かす」などの連載記事で、台湾に心理戦を仕掛けている。 同紙は、米国が危機に陥れば、台湾を見捨てる可能性があると論じた。

さらに、中国共産党人民解放軍は、18日から戦艦、対潜機、戦闘機を配備して、台湾の西南・東南周辺の海・空域で合同火力攻撃などの実践的な演習を行っていると声明を発表した。

いっぽう、こうした中国共産党の心理戦を、台湾側は打ち払おうとしている。台湾の外交官で中東・中央アジアに精通する蘇育平氏は大紀元の取材で、台湾とアフガニスタンの違いを答えた。

「台湾は第一列島線に位置し、中国共産党を封じ込める上で重要な位置を占める。さらに、台湾の半導体産業が世界経済にとってかけがえのないものだ。米国は、提唱する『価値観の同盟』のもとで台湾の民主主義と自由が政治的に正しいことなどを確認している」

台湾は、米国が主催する12月開催予定の「民主主義サミット」に招かれると報じられている。

米、民主主義サミットを12月に開催 台湾の参加も

蘇氏はさらに、米国が台湾に手を差し伸べることをやめたとしても、自国を脱出したアフガン政府首脳陣のような事態は起こり得ないと強調した。「台湾海峡という自然の脅威にさらされ、70年間もの間に蓄積された戦力は、人民解放軍に簡単に制圧されるものではない」と力説した。

(佐渡道世)

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