韓国国軍には軍隊の生活と労働条件の向上に関する兵士や民間人等の洞察を収集する「防衛人権監視隊」が設置されている。これには軍隊の人権保護の改善を目指す韓国国防部(MND)の努力が表れている。
韓国国防部のニュースリリースによると、兵士と民間人で構成される同監視隊の活動は2021年6月下旬に開始され、2022年3月まで継続される予定である。同国防部は8年連続でこうした監視隊を動員している。
同国防部の説明では、監視隊の包括的な目的は「軍隊内の人権と人権の質の改善を尊重する兵営文化の発展に向けて、思いやりを基盤とした軍隊間の繋がりを強化する」ことにある。
初めて監視隊が発足されたのは2014年のことで、当初は軍人のみで構成されていたが翌年に民間人が含まれるようになった。 同国防部の説明によると、2021年4月に公開審査が実施され、兵士40人と民間人15人が8番目となる今回の監視隊の要員として選定された。
軍隊の人権改善を目的として仮想形式で任務に取り組む監視隊から提示された推奨事項は、承認されれば軍隊政策に組み込まれる。
ソウル大学校・国際学科の辛星昊(Sheen Seong-ho)教授によると、兵士の人権保護を目指す同対策は文在寅(Moon Jae-in)韓国大統領が推進する「国防改革2.0(DR2)」政策イニシアチブを反映するものである。
辛教授はFORUMに対して、「国防改革2.0の下、韓国政府は自国軍隊の『兵営文化』が軍人にもたらす影響を真剣に再考しているようである。大韓民国国軍の兵営文化は従来から非常に階層的、時には非常に権威主義的な傾向があった」とし、「そのため、同国政府は軍隊のさまざまな面における個人的な自由と人権を民主化または推進するために非常に積極的な取り組みを実施してきた。
最近では、召集兵の勤務時間外の携帯電話使用や基地外での休息・休憩が許可され支給される報酬の額も上昇したために、兵士の『安心感という面で安定性と安全性』が向上した」と説明している。 国防改革プロセスに民間人を関与させたことも1つの前進であると、同教授は述べている。
監視隊に参加している民間人大学生のパク・ソユン(Park So-yun)氏は、弟が大韓民国国軍に入隊して以来、自身の中で軍隊の人権に対する関心が高まったと話している。
パク氏は韓国国防部で、「兵士の人権改善に貢献できたらと考え、監視隊に志願することにした。多様な監視隊の経験を通じて、人権に配慮した兵営文化の構築に取り組みたい」と述べている。
韓国高陽市の国軍高陽病院に勤務するチョン・ヒョンキ(Jeon Hyeon-ki)伍長は、軍隊経験が現役兵士として監視隊に志願する動機となったと話している。
同伍長は、「すべての兵士の人権は退役するまで尊重されるべきである」とし、「自分自身の兵営生活の経験を活かして軍内の不正や人道に対する罪を正すための提案を積極的に行っていく」と語っている。
(Indo-Pacific Defence Forum)
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