中国進出の罠 台湾企業家が中共の「外資系企業狩り」の手口を暴く

2021/09/17 更新: 2021/09/17

中国進出した海外企業にはトラブルがつきものだ。ある台湾の企業家は大紀元のインタビューで、多くの経営者は中国共産党( 以下、中共)に対する理解不足で、人治社会ならではのトラブルに見舞われていると指摘した。

台湾の寝具ブランドの会長である陳永双氏(仮名)は、長年にわたって中国で事業を展開してきたが、近年は中国市場の政治的リスクがメリットを上回ると考え、中国からの撤退を決意した。彼は、中国で遭遇した数々の理不尽を大紀元に伝えた。撤退により中国への投資で数千万ニュー台湾ドル(1ニュー台湾ドル=4円)以上の損失を出したと推定している。

技術略奪のための外資誘致」

中国当局は2018年と19年、台湾企業の進出と台湾の若者の中国での就労を奨励していた。米中対立を背景に、中国は近年、台湾のハイテク産業の誘致に熱心だった。

「これまでも中国が技術を必要とするときは、台湾の企業や人材を招き入れ優遇してきた。技術を手に入れたら、台湾企業はあっさり捨てられてしまう」と陳氏は語った。

同氏によると、台湾の医療用手袋メーカーの一部が中国の優遇政策に惹かれ、中国に工場を建設して生産した。しかし、その技術は中国側に盗まれた。中国当局は関連技術を持つ中国企業に多額の補助金を与え、工場を建設させた。その結果、台湾が建設した工場は中国企業との価格競争で優位に立つことができず、次々と廃業に追い込まれた。

「台湾の伝統産業の多くは、この苦い経験を通して教訓を得た。今後二度と、台湾企業が騙されないことを願っている」と訴えた。

「中共が補助金で台湾企業と競争」

陳氏は、中共が政府補助金を使って台湾の民間企業に対抗しているとし、「これでは(台湾企業に)勝ち目はまったくないだろう」「中共の邪悪な本質は変わっていない。景気が悪いときは台湾企業に好意的だが、景気が良くなるとすぐに背を向けてしまう」と指摘した。

中国の消費者市場については、中共が宣伝しているような「ブルーオーシャン」ではないと陳氏は考えている。中国の上流階級は消費力を持っているが、何億人もの貧困層がいて、貧困層は特定の消費市場を支えることができない。台湾企業は中国勢との競争にも、さらされているため、「長期的に稼げる中小企業はあまりない」と述べた。

「苦労して稼いだお金が一晩で奪われてしまった」

仮に中国から撤退するにしても、一本筋ではいかないという。陳氏は、マウスボールや銅管を生産し、世界的なシェアを持つ台湾のマウス部品メーカーを知っている。近年、マウスホイールから赤外線への変化で市場が縮小したことを受け、台湾のオーナーは中国からの撤退を決めた。直後、地元政府から「工場は所有者が解体する」「土地の汚染状況を精査する」という通達が届いた。その後の莫大な罰金により、台湾のオーナーは「苦労して稼いだお金が一夜のうちに奪われてしまった」という。

また、陳氏はごく一般的な例を挙げた。中国から撤退しようとした染料工場のオーナーは、中国当局から「事業を撤退するなら、過去に優遇政策で免除されていた税金や土地の権利金を返済しなければならない」と言われたという。

陳氏によると、中国当局は台湾企業だけでなく、ほとんどすべての外資系企業に対して同様の態度をとっている。だが、中共は在中米国商工会議所が支援する米企業に対しては寛大だという。米政府を怒らせたくないからだ。中共はまた、中国の輸出や雇用状況に極めて重要な役割を果たしている台湾系大手電子機器メーカー、富士康科技集団(フォックスコン)に対しても、嫌がらせなどは働いていない。

中共が生殺与奪の権を握っているため、外資系中小企業が「中国で儲けるのは非常に難しい」と陳氏は言う。

「台湾政府は、台湾企業の中国進出を奨励すべきでない」

陳氏は、台湾企業が中国で直面する多くのリスクを考慮し、台湾政府はもはや台湾企業の中国進出を奨励すべきではないと警告した。中共に意図的に狙われるだけでなく、中共政権の不安定性と硬直性、そして各級官僚の腐敗により、台湾人経営者が多くのトラブルに巻き込まれる可能性がある。

陳氏は、中国では事業経営に集中することは難しく、官僚と「良い関係」を築かなければ、当局に言いがかりをつけられ、法律違反と言われかねないと語った。「中国でビジネスをしたいと思っている人は、絶対に考え直した方がいい」と語気を強めた。

(翻訳編集・王君宜)

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