中国国務院は、中共ウイルス(新型コロナ)感染拡大防止のための入国制限措置を22年前半まで継続すると発表した。出身国に戻った多くの外国人留学生は中国での学業継続が不可能になり、不満を募らせている。
ラジオ・フリー・アジア(RFA)の報道によると、今年9月の新学期を機に、多数の外国人留学生はネット上で「#takeusbacktochina(私たちを中国へ連れ帰って)」のハッシュタグをつけて、入国制限を撤廃するよう中国当局に呼びかけた。
「中国政府は自分たちの要求に応えていない」「韓国学生だけに許可を与えるのは不公平だ」などといった非難が散見する。
1年間の休学を余儀なくされたマレーシアからの中国系留学生は、学校と交渉を重ねてきたが進展がないため、台湾へ留学先を変えたという。
この留学生は「情緒不安定になっている」と訴え、「多くのマレーシア人の中国に対する見方も変わりつつある」と述べた。
実験を必要とする工学系や医学系の多くの学生は、オンライン授業だけで学業を終えることができないため、不満を募らせている。
他にも奨学金を減らされたという工学部のインドネシア人留学生もいた。
一部のバングラデシュからの留学生は、中国領事館の前で抗議活動を行った。
世界第3位の留学生受け入れ大国
中国は今、世界最大の留学生送り出し国だが、米、英に次いで世界第3位の留学生受け入れ大国でもある。
2019年に受け入れた留学生は約50万人、うち6割がアジア人学生で、約17%がアフリカ人学生となっている。発展途上国から来ている留学生は奨学金が支給されるなど、中国留学は魅力的だという。
中国教育部は、留学生を誘致するために、毎年数十億元(1元=約16円)を投じている。
国民の反感を呼ぶ留学生の「特別な待遇」
留学生にあてられる補助金や奨学金は、一部の中国の大学にとって重要な資金源となっている。そのため、学校側は留学生をあの手この手を使って増やそうと必死だ。
山東省では、留学生にチューターとして異性の中国人学生を手配していることに、中国人学生や社会に反感を呼んでいる。
河南省の大学は、留学生に空調設備を提供するなど優遇していることに、中国人学生から抗議を受けたという。
ほかにも「学校側から学生寮を清掃するように言われた」など、ネット上で不満を明かす学生もいた。
留学生への投資は予期する効果を得られるのか
中国教育部は「一帯一路」の発展に合わせて、国のソフトパワーを高め、強力なネットワークを構築し、親中パワーを育成したいと明言していた。
北京師範大学一帯一路学院の胡必亮院長は、「人々を堅く団結させるには留学が一番、これこそ最も価値ある投資だ」と述べていた。
デンマークのオールボー大学で中国を研究するAne Bislev准教授は、「中国にとってソフトパワーとは、国家のポジティブなイメージを高めることだが、留学生は必ずしも受入国の政治的見解に同意するとは限らない」と指摘した。
(翻訳編集・李凌)
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