「中国系製鋼所から赤いほこり」セルビアの町でがん発症率が急上昇=報道 

2021/11/10 更新: 2021/11/10

セルビア中部に位置するラディナック(Radinac)村の住民は、5年前に中国企業が地元の製鋼所を買収した後、がん発症率が急速に上昇した。工場から出る大量の赤いほこりが原因だとみられる。同国政府は、環境汚染を改善するよう中国企業に圧力を強めている。

ロイター通信9日付によると、ラディナック村は、中国企業が所有するスメデロボ製鋼所からわずか数百メートルしか離れていない。村は工場から毎日排出される赤いほこりで覆われている。村民のがん発症率はこの10年間で4倍になった。住民は工場に対して、汚染物質排出量の削減または工場の閉鎖を求めている。

がんと診断された村民の1人はロイター通信に対し、「洗濯物は部屋干ししかできない」と話した。地元住民によると、水では車などに付いた赤いほこりを洗い流せず、酢を使っているという。地元住民は健康被害を懸念し外出を控えている。

報道によると、人口10万人のスメデロボ市では、2019年に診断されたガン患者は6866例で、2011年の1738例を大幅に上回った。

中国国有鉄鋼会社、河北鋼鉄集団は2016年、4600万ユーロ(約60億1318万円)でセルビア政府からスメデロボ製鋼所を買収した。同製鋼所の幹部はロイター通信の取材に声明を出し、地元住民のがん発症率上昇の原因を同工場の生産活動に結び付けるのは「正しくない」と主張した。

環境保護団体「Tvrdjava」が9月、同工場から出る赤いほこりを分析した結果、高濃度の重金属が含まれていることがわかった。同団体の担当者は、「赤いほこりに油が混じっているため、肺部に付着して呼吸困難になる」とした。

同団体は、中国企業は汚染物質の排出基準を無視していると非難した。

セルビア政府は、汚染問題を巡って中国企業に強硬な姿勢を示し始めた。4月、同国政府は中国紫金鉱業集団に対し、環境基準を守らなかったとして、国内の銅鉱山での一部の操業を一時停止するよう命じた。

同国のミハイロビッチ・鉱業エネルギー担当相は、環境基準を順守しない企業に「罰金を科し」、「場合によって操業を停止させる」と語った。

(翻訳編集・張哲)

関連特集: 欧州・ロシア